しかし、秋はもちろん食べ物だけではありません。紅葉や赤とんぼなど、目に美しいものもあります。そんななか、味覚も視覚も満たす新しい秋の風物詩として「パンプキン スパイス ラテ」が真っ先に上がった方もいるかもしれません。
これは、2003年にスターバックスで登場した秋限定のスペシャルメニューです。昨年、日本でも満を辞して発売、秋を心待ちにしているファンが増加しているそうです。今日は、そんなスペシャルメニューを次々と展開、世界のコーヒー好きのハートと財布を握っているスターバックスの業績を、データで振り返ってみましょう。
店舗数、世界で35000店超!
いま、インフレ、物価上昇のニュースを耳にしない日はないほどです。しかし一方、統計データによると、消費者はめげずにお金を使い続けている事実もあります。実際、アメリカでは日々の生活支出を絞る一方で、外食や旅行といったサービス関連への消費が年率3%ほど増えています。
日本でも、今年9月の個人支出は2021年に比べて2.3%増加しています。今後の値上げに備えた買い溜め、先行消費と受け取ることもできなくはありません。しかし、街の飲食店に戻ってきた賑わいを見ていると、やはり、積極的に楽しく使いたい、という気分も透けて見えるようです。
さて、パンプキン スパイス ラテが秋の風物詩の代表格となりつつあるスターバックスの業績はどうでしょう。
いまや同社は世界で35000店以上を展開する世界最大のコーヒーチェーンとなりました。店舗数で最も多いのはアメリカで約16000店舗、次に中国の6000店舗が続きます。ちなみに日本では約1800店舗、街を歩けばあの緑色のロゴを目にしない日はないくらいです。
そんなスターバックス、10月2日に終了した直近の四半期決算では、過去最高の売上を記録していました。この四半期では売上高84億ドルを計上し、前年の同期と比べて11%の増加となりました。2022年会計年度・通期での売上高は323億ドル、コロナ前の最高額だった2019年の265億ドルから、20%以上も増加しています。
中国以外の地域では売上増、2桁?
多くの小売チェーンでは新店舗の好影響を除いた、既存店舗だけの売上高も経営指標としてウォッチしています。スターバックスの直近の四半期、既存店舗の売り上げは、北米の好調な業績に牽引されて7%増加しました。日本を含む海外市場では、中国でのロックダウンが業績の足を引っ張り、既存店の売上高は16%も減少しました。しかし、中国以外の地域では2桁の売上増を記録しています。
既存店の売上高が伸びているのは、どうしてでしょうか。インフレによる値上げが客単価を釣り上げたことはもちろんですが、オーダーの回数そのものも増加しているようです。つまり、世界的に生活費の圧迫が叫ばれている中であっても、多くの消費者にとって美味しいコーヒーは譲ることのできないもの、そして次々と繰り出される季節メニューの誘惑に逆らうこともまた難しい、ということが言えそうです。
(世界最大級データポータル「Statista」の記事はこちら:There’s Always Money for Pumpkin Spice Latte)。