また、Kroger CFOのGary Millerchip氏は次のように述べている。
「両社を合わせた2021年度の売上高は約2100億ドル、調整後EBITDAは116億ドル、純利益は33億ドルです。今回の合併により、合併後の初年度から収益増加、4年目には2桁の収益増加(一時費用を除く)を見込んでいます。また、契約完了後4年以内に、売却分を差し引いた年間約10億ドルのシナジー効果を見込み、その約50%は買収完了後2年以内に達成される見込みです。」
合併は理にかなった動き
今回の合併は、複数の理由からKrogerとAlbertsonsの両社にとって理にかなった動きだといえる。
・特に北カリフォルニアと米国北東部において、全国的な事業展開と規模拡大を実現し、WalmartやAmazonといったスーパーマーケット以外の主要なライバル企業との競争において、より有利な立場に立つことができるようになる。また、規模が拡大することで、ベンダーやCPG企業との価格交渉も有利に働く機会が増えると思われる。
・技術投資やマーケティング費用などの相乗効果、店舗の重複をなくすことで、大幅なコスト削減が見込まれる。
・データアクセスの向上は、合併の最も重要な利点である。合併後の新グループは、国内の消費者行動に関する膨大なデータを保有し、Krogerの分析およびパーソナライゼーションに関する専門知識を活用し、リテールメディアの販売、パーソナライズされたマーケティング、より優れた社内意思決定を推進できることが期待される。
KrogerからAlbertsonsへは、低価格とデータ分析に基づく商品価格設定のモデルが共有されることが期待される。また、本レポートのデータでも示しているように、Albertsonsの高価格帯のポジショニングが顧客層に反映されるとみている。
合併がもたらすリスクとしては、両社がEコマース機能の強化や、自動化による利益向上の推進から目をそらす可能性がある点だ。他の大手食料品小売企業と同様に、両社は、例えば、自動化された大規模な中央フルフィルメントセンターと小規模なフルフィルメントセンターを組み合わせ、従来のオンライン食料品の大小の注文とクイックコマースの両方に対応する、異なる実店舗モデルとデジタルモデルを融合する必要があるだろう。