「天文学を営利事業」にするロンドンの宇宙関連スタートアップBSSL

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軌道に乗ったら、データ利用が年間7万5000ドル(約1000万円)、宇宙天文台の観測時間が1時間当たり5000ドル(約70万円)という価格帯を考えているとテセニは述べている。

BSSLの具体的な目標は、国家宇宙機関による数十億ドル(数千億円)の看板ミッションと、現在いくつかの大学が実施している超小型衛星CubeSatの隙間を埋めることだ。

BSSLや未来の営利宇宙科学ベンチャーが、宇宙での天文観察のコストを引き下げることは可能だ。そしてその過程で、天文ミッションの数は現在の2倍にも3倍にもなるだろう。

BSSL自身による最初の宇宙ベンチャーは、150万ユーロ(約2億2000万円)の小さな15センチメートルの望遠鏡Mauve(モーブ)で、紫外線と可視光による分光法を使って近くの複数の太陽類似星のフレア活動を監視する。目的は、それらの恒星の中で、居住可能な惑星のホストに最適なものを見つけることだ。打ち上げは2024年を予定している。



しかし同社が計画中の最大のミッションはTwinkleだ。Mauveよりずっと高額の5000~6000万ドル(約4億9000万〜8億3000万円)の衛星で、私たちの銀河内の恒星を周回する惑星の大気を観測する。Twinkleは、50センチメートル以下の望遠鏡しか使わないが、熱的に安定した低極軌道を飛行することから、何千もの天体を観測できるはずだ。その中には、系外惑星大気、星周円盤から私たちの太陽系内の小惑星や彗星の表面まで、ありとあらゆるものが含まれる。

すべて予定どおりに進めば、Twinkleの打ち上げは、2024年の終わり頃になる。

この新規ベンチャー全体にとって最も困難だったことは?


「初期ステージの資金調達から大手メーカーとの提携やコミュニティ内での信用まで、やるべきことが複雑で多すぎることです。1つ1つが山ほどの仕事でした」

しかし楽しみなのは、一度これらの宇宙船が軌道に乗ってデータを集め始めれば、コストは回収可能であり、初期のサブスクライバーからの収益の余剰を将来のミッションに投資できることだ。

Blue Skies Spaceが非営利ではなく営利企業を選んだ理由について?


「営利企業への道を選んだことで、景色は完全に変わり、資金調達に関してもはるかに多くのドアが開きました。できる限り迅速に動き、コスト効果を高めるために、私たちは営利的に考えています」とテセニはいう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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