Hikvisionは、中国西部のイスラム教徒に対する組織的な人権侵害を理由に商務省のエンティティリストから、また中国軍との連携を理由に国防総省から制限を受けているにもかかわらず、FCCはHangzhou Hikvision Digital Technology Company(Hikvision)の規則を緩和し、消費者向けの幅広い適用除外を認めた。「公共の安全」と「国家安全保障」の用途にのみ規制がかけられる。
注目すべきは、他の連邦法がすでに公共安全や国家安全保障のためにこの機器を使用することを禁止していることだ。皮肉なことに、そもそも連邦議会は、連邦法が消費者を対象としていないため、まさにこのギャップを埋めるためにFCCの権限を強化したのだ。しかし、Hikvisionだけでなく、Hytera Communications(ハイテラ・コミュニケーション)やDahua Technologies(ダーファ・テクノロジー)も免除されているため、FCCは消費者に何のセキュリティも提供していないのが実情なのだ。残念なことに、Hikvisionは、国連人権高等弁務団が人道に対する罪と呼ぶものを犯しながら、利益を上げ続けることができる。
米国の消費者のために活動している元FCCの弁護士は存在しない。FCCの規則を最も積極的に支持しているのは、ビデオ監視、アクセスコントロール、武器検知などの物理セキュリティ技術に関する権威ある情報と調査を提供するIPVM(ペンシルバニア州ベツレヘム)だ。
これとは別にChina Tech Threat(「中国テックの脅威」協会)は、制限対象リストからの免除は規則の精神を損なうものだと主張している。家庭やオフィス、学校、銀行などにビデオカメラを設置するのは、安全・安心のためであることは言うまでもない。
皮肉なことに、こうした設置規則は法の支配の結果だ。法の支配は本質的に政府の市場への過度の介入を制限するが、必ずしも意図された 「安全」 を提供するわけではない。思い起こせば、合衆国憲法の唯一の義務的機能は防衛だが、それでも米国のサイバー戦争への備えとサイバー侵入からの保護は最適とは程遠い。米国の多くの企業や個人は、一連の防御的・攻撃的な対策で身を守ろうとしているが、脅威を検知・特定し、抑止する仕事は連邦政府の領域であり、現在それが不十分なのだ。
連邦当局がセキュリティの確保に失敗していると考えたために、フロリダ州やジョージア州などは独自の施策を行っている。フロリダ州のロン・デサンティス知事から最近出された知事命令では、すべての中国政府系企業による製品およびサービスの使用と購入が禁止されており、FCCの規制対象リストの10社と比較してはるかに包括的なリストとなっていいる。
産業安全保障局による新たな輸出規制、Yangtzee Memory Technology Corporate(YMTC、長江メモリ)の上場、そしてApple(アップル)との疑惑の関係については、米国時間11月15日のこのイベントに注目して欲しい。
(forbes.com 原文)