2011年に打ち上げられ2016年以降、木星に留まるジュノーは、非常に扁平な楕円軌道で巨大惑星を周回し約5週間に1回、惑星の極地域に接近する。ジュノーが撮影した画像が地球に送信されるのはこのタイミングだけだ。
NASAの探査機ジュノーのJunoCamが、2022年11月6日に高度2万2658キロメートルから採集した画像データ(NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS/BRIAN SWIFT © CC BY)
2022年11月6日、ジュノーは46回目の最接近飛行(perijove、ペリジョウブ)を行い、その後数日間、搭載する2メガピクセルカメラで撮影したデータがNASAの深宇宙ネットワークを通じて送られてきた。10月にジュノーは木星の月「エウロパ」の驚くほど美しいクローズアップ写真を撮影した。
ジュノーはその長い楕円軌道を安定して周回するために自転しており、送られてきた画像には多くの作業が必要になる。すばらしいボランティアチーム「citizen scientists(市民科学者)」が、ジュノーが最接近するたびにミッションの特設サイトから画像のオリジナルデータをダウンロードしている。データは誰でもダウンロードして加工後にアップロードできる。
「彼らの知的爆発力と専門知識のおかげで、驚くべき画像の数々が生まれました」とコーネル大学の惑星科学者で、ジュノー・ミッションの共同調査員、ジョナサン・ルニーンは語り、その市民科学者たちはジュノーの科学チームと同等の機能を果たしているとも述べた。「彼らの提供物と、ボイジャーやニュー・ホライゾンなどのミッションから得られるものとの間に違いはほとんどありません。これは、惑星ミッションチームの活動方法の考え方に変化をもたらすものであり、非常にうまくいっている実験です」
ジュノーの画像加工をしている献身的な市民科学者は、ケビン・M・ギル、ブライアン・スウィフト、アンドリー・ラック、ビョルン・ヨンソン、ジャラルド・アイヒステット、ショーン・ドーランらだが、JunoCamウェブサイトでは、それ以外の多くの人たちの作品を見ることができる。
2022年11月7日、NASAの探査機ジュノーから見た木星。Kevin M. Gillが画像処理した(NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS/KEVIN M. GILL © CC BY)
この画像処理実験は、実質的にジュノーからバトンを引き継ぐ次の2つの木星ミッションで実施される可能性は低い。NASAのエウロパ・クリッパー・ミッションと欧州宇宙機関(EPA)の木星氷衛星探査機(JUICE)ミッションでは、それぞれ専門の科学チームが画像処理を担当する。
エウロパ・クリッパーは2024年10月に打ち上げられて2027年後半に木星に到着し、約45回の接近通過(フライバイ)を行いその都度衛星エウロパの氷の表面を高解像度で撮影する。
2022年11月7日、NASAの探査機ジュノーから見た木星。Kevin M. Gillが画像処理した(NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS/KEVIN M. GILL © CC BY)
JUICEはそれより少し早く2023年4月に打ち上げられるが、到着するのは2031年7月だ。ミッションは3年半をかけてエウロパ、ガニメデ、およびカリストの3衛星を観察することだ。
2021年6月、ジュノーは太陽系最大の衛星であるガニメデから600マイル(約1000キロメートル)以内に接近し、魅力的な画像をいくつも送ってきた。
ジュノーの次の最接近「Perijove 47」は、2022年12月15日。
澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。
(forbes.com 原文)