大麻、更年期症状の緩和に効果か 米調査結果

Getty Images

米国では毎年、約130万人の女性が閉経を経験している。閉経は51~52歳に始まることが多いが、約5%は40~45歳に経験し、40歳前の早発閉経も1%の割合で起きている。閉経前後に生じる更年期障害の主な症状には、ほてりや不眠、性欲の減退、気分の変化がある。

更年期障害の治療法としては、ホルモン療法や非ホルモン療法などさまざまなものがある。健康的な食生活や運動、心の健康のケアなど、生活様式の変化も症状緩和に役立つ。

一方で、米マサチューセッツ州マクリーン病院画像検査センターとハーバード・メディカル・スクール精神医学科の研究チームが最近、北米閉経学会(NAMS)の学術誌に発表した論文によると、多くの州で医療用・嗜好(しこう)用大麻の規制が緩和されている米国では、大麻を使用して更年期障害に対処している女性もいるという。

研究チームは、更年期障害の症状がある女性が大麻の使用により受ける影響を調べた。結果、特に不眠や気分障害、不安、性欲減退に対する補助的な治療法として大麻を使用している女性が多いことが示された。

論文によると、人が持つ身体調節機能「内因性カンナビノイド系」は体温や気分、不安、睡眠の制御などさまざまな生理・心理プロセスに関わっていることから、大麻に含まれる化合物群「カンナビノイド」が更年期障害の症状を管理する役に立つ可能性がある。

研究チームは、大麻化合物が内因性カンナビノイド系の一部である「アナンダミド」と相互作用する可能性があると考えている。アナンダミドは卵巣で生成される化合物で、更年期になると量が減る。大麻化合物とアナンダミドが相互作用することで、更年期障害の症状を防ぐ効果があるかもしれない。

研究チームは、2020年3月から21年4月にかけてソーシャルメディア上で閉経周辺期と閉経後のアンケート調査への参加者を募集。集まった258人に、健康状態や、服用している医薬品、更年期関連の症状の有無、一般的な目的での大麻使用や、更年期に関連した症状緩和のための大麻使用などについて答えてもらった。

参加者の大半は非ヒスパニック系の白人中年女性で、収入は中所得以上、学歴は大卒かそれ以上で、結婚しているかパートナーがおり、少なくともパートタイムで働いていた。
次ページ > 不眠や不安、性欲減退の軽減に効果?

編集=遠藤宗生

ForbesBrandVoice

人気記事