「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」は、もちろんその続編となっている。現実に主人公を演じたチャドウィック・ボーズマンを喪っているため、物語も国王ティ・チャラが死去したばかりのワカンダという設定となっている。
ティ・チャラに代わって国を統治することになったのは、彼の母親でもあるラモンダ女王(アンジェラ・バセット)。彼女は国連の会議に出席し「ヴィブラニウムを世界にも分け与えよ」という列強の国々からの要求に対して、敢然と拒否の姿勢を示す。それが世界の平和を維持するためには必要だと考えているからだ。
(c)Marvel Studios 2022
一方、大西洋の某所では、海底に眠るヴィブラニウムの存在を求めて、アメリカが特殊な探査機を使って調査していた。しかし、現場に海から謎の集団が現れ、探査船のスタッフを亡き者にしてしまう。CIAはワカンダの人間が絡んでいるとみていたが、ラモンダ女王は濡れ衣だとして、娘で前国王の妹でもあるシュリ(レティーシャ・ライト)をアメリカに派遣する。
実はヴィラニウムの探査機をつくったのは、まだ学生の身でありながら天才的頭脳を持ったリリ・ウイリアムズ(ドミニク・ソーン)。自らも優れた科学者で発明家でもあるシュリは彼女の存在を突き止めるが、2人は謎の集団に拉致されてしまう。暗躍していたのは、ワカンダと同じくヴィラニウムによって、大西洋の海底にタロカンという国を築いていた国王のネイモア。彼はシュリにある提案を持ちかけるのだったが……。
(c)Marvel Studios 2022
不思議なのは、こうして言葉で書くと「絵空事」のような物語が、実際に映像を観ながら追っていくと不思議な「リアルさ」を感じてしまうところ。計算され尽くした圧倒的なビジュアルと織り込まれたメッセージ性がそうさせるのかもしれないが、とにかくスクリーンへの没入感は圧倒的だ。
このあたりが、賞レースだけでなく興行収入的にも破格の成果を上げている理由かもしれない。ちなみに前作の「ブラックパンサー」は、公開から5週にわたって北米の週末興行成績のトップを維持、当時の全世界歴代興行収入ランキングでも9位に入っている。また、これまで全世界で約13億4700万ドル(約2020億円)を稼ぐメガヒット作品ともなっている。