無自覚のストレスを客観的に評価するアプリ『ANBAI』を提供するDUMSCOが行った調査によると、1日4件以上のリモート会議を行うと高ストレス者は37パーセントに達するものの、そのうちの57パーセントには自覚がなく、ある日突然休職してしまう危険性があることがわかった。DUMSCOでは、そうした高ストレス者を「隠れテレワ負債者」と呼んでいる。
なぜ無自覚にストレスを溜め込んでしまうのか。その原因は、ストレスの「抵抗期」にあるとDUMSCOは解説している。つまり、人はストレスを感じるとアドレナリンなどの抗ストレスホルモンが分泌され、一時的にパフォーマンスが上がるため、ストレスを感じにくくなるというのだ。むしろ「調子がいい」と感じてしまうことさえある。
それは年収からもわかる。DUMSCOの調査では、隠れテレワ負債者は年収800万円以上の「ハイパフォマー」に多いことが示された。これはあくまでドーピングされた状態のパフォーマンスなのだが、そこが評価されて高収入が得られているとなれば、頑張らざるを得ない。
しかし、ドーピングの効き目はいつか切れる。抵抗期はおよそ3カ月だそうだ。そこで副腎に蓄えられていたホルモンが枯渇し、心身に異常が生じてくる。
このような惨事を防ぐために、DUMSCOでは、社内で使用しているSlackのステータスにストレスの状態を示す「(忖度なしの)HP見える化」制度を実験的に開始した。『ANBAI』を使って、自分が「HP」つまり高ストレス者であるかどうかを客観的に評価し、それをSlackで相手に見せるというものだ。
調査では、隠れテレワ負債者の88パーセントが、会議の参加に「大丈夫です」と脊髄反射的に答えているとの結果も出ている。「忖度なしの」とは、そうした「大丈夫」とは裏腹に身も心もヘトへとであることを相手に示してくれるということ。これにより、社内では「今日の会議はリスケしましょうか」といった会話が増え、会議の「断捨離」が進んだそうだ。