今回からスタートする新連載「なぜスタンフォードから起業家が生まれるのか──現地で学ぶ日本人を訪ねる」では、現在スタンフォード大学に1年間滞在し、スタートアップ・エコシステム調査を行う芦澤美智子が、なぜこの大学から優秀な起業家が生まれるのか、その内部の実態を探っていきます。
初回は医学部に所属する串岡純一さんに話を聞きました。串岡さんは、2つの学内起業支援プログラムに参加した経験を持ち、7月に萩生田経済産業大臣(当時)がスタンフォード大学に来た際には、医学部関連のスタートアップ施設を案内した方です。
串岡純一さん
私と、同僚のフルブライト(専門分野の研究を行うと共に、何らかの形で日米の相互理解に貢献できるリーダー育成を目指す)奨学生のジャーナリスト尾川真一さんが取材しました。
──スタンフォードに来た経緯と、現在の所属を教えてください。
2011年に大阪大学医学部を卒業後、整形外科医として脊椎外科手術や骨・椎間板の再生医療の研究をしています。大学院生の時に国際学会でスタンフォード大学医学部のグッドマン教授(整形外科)に出会い、研究内容が近かったことなどから博士号取得後に留学することを決めました。コロナで渡米が1年遅れて2021年からこちらに来ています。
現在はグッドマン教授のラボで骨再生研究をするかたわら、デジタルヘルスの研究もしています。医学部発スタートアップに関心があり、この1年間でさまざまなプログラムに参加してきました。また、スタンフォード大学医学部にいる日本人の交流を深めようと「SMJA(Stanford Medicine Japanese Association)」という組織を作り活動をしています。
──スタートアップ支援プログラムはどのようなものに参加しましたか?
2つあります。まずは医学部が提供している「バイオデザイン・イノベーション」コースです。
プロジェクトベースの授業で、医学部、工学部、経営大学院の3学部から2人ずつ、6人のグループを組み、3カ月(1学期)でビジネスプランを作ります。最後にベンチャーキャピタル(VC)にプレゼンをして、上位数チームは約2000ドル(約30万円)の資金を得てプロジェクトを継続します。