SECのゲンスラー委員長は10日朝のCNBCの番組Squawk Boxで、暗号通貨取引所にデジタル資産を預けた消費者は、「彼らが倒産した場合は、破産裁判所の列に並ぶしかない」と語った。
ゲンスラーは特定の取引所の名前を挙げることを避けたが、彼がこの発言を行ったのは、FTXが数十億ドルの引き出し要求に応えられないことが判明し、破綻した数日後のことだ。
破産裁判所の例えは、FTXの顧客が資産を取り戻せる保証はないという事実を示唆する厳しいものだ。暗号通貨取引所は、連邦預金保険公社(FDIC)に加盟する銀行のようには規制されておらず、消費者は資産の返還を保証されない。
競合の取引所のバイナンスがFTXの救済から手を引いた今、ゲンスラーが言うように個人が法的措置をとって資金を取り戻せるかどうかは不明だ。
複数のメディアの報道によると、SECや司法省、商品先物取引委員会はそれぞれ、流動性の危機の前にFTXがどのように消費者の資金を管理していたかを調査している。
FTXの転落は数日のうちに起こり、バイナンスのジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)が、FTXの債務超過の懸念について表明した後、今週初めからFTXには資金の返還リクエストが殺到した。バイナンスは8日にFTXを買収する趣意書にサインしたが、その翌日に、「問題は我々のコントロールや助ける能力を超えている」と述べて、買収案を撤回した。
FTXが直面する危機は、暗号通貨市場全体に打撃を与え、ビットコインとイーサの価格は今週18%と21%の下落となった。また、コインベースの株価も23%急落した。
フォーブスは、FTX創業者のサム・バンクマンフリードがビリオネアの地位を失ったと見ている。これに関し、バンクマンフリードにコメントを求めると、「たしかなことは言えないが、自信を持ってそれに反論することはできない。新たな情報が出てきたら追って連絡する」と、Eメールで返信があった。
投資会社ギャラクシー・デジタルのCEOのマイケル・ノボクラーツは10日のCNBCに対し、「今起こっていることが、基本的にセラノスに似た状況であることが信じられないほどもどかしい」と述べて、エリザベス・ホームズが設立した悪名高きバイオテクノロジー企業の不正行為の件を示唆した。ノボクラーツの会社は、FTXに7700万ドル(109億円)の資産を預けており、「この資産を取り戻せるかどうか分からない」と彼は話した。
(forbes.com 原文)