謎多きエディアカラ動物群が地球最初の大量絶滅で生き延びられなかった理由

トリブラキディウムはエディアカラ動物群の中で最も謎に満ちた生物だ(Masahiro miyasaka)

バージニア工科大学の地球生物学者グループの最新研究によると、最初の大量絶滅の原因は地球上の酸素供給能力の低下にあり、5億年前に存在していた種の約80%が失われたという。

1947年、地質学者のレジナルド・C・スプリッグは、オーストラリアのエディアカラ丘陵で大型の化石を発見したと発表した。岩石層を年代測定した結果、そこに含まれるエディアカラ動物群は5億5000万年以上前から存在していたことがわかり、当時大きな話題となった。地球の歴史上、そんなに早く多細胞生物が出現するとは誰も予想していなかったからだ。

エディアカラ動物群には、類縁の不明な奇妙な生命体が数多く含まれている。卵型で体節に分かれたイモムシとクラゲの中間のようなディッケンソニア、一見したところ現代のウミエラに似た、体節があり枝分かれした生命体チャルニア、近代の動物には見られない三重の対称性をもつトリブラキディウムなどだ。

「これらの生命体は動物進化史の非常に早い時期に発生していて、多くの場合、より大きな、時には可動性の多細胞生物を作るためにさまざまな方法を実験していたように見えます」とバージニア工科大学理学部地球科学科の博士研究員スコット・エバンスは説明する。

約9600万年の間、その浅い海域を支配していたエディアカラ動物群は、約5億3900万~5億年前に絶滅して、原生代の終わりと顕生代の始まりの象徴となっている。顕生代は地球の歴史上「現生動物」が支配していた時期だ。

「実質的にこの絶滅は、今私たちが知っている動物たちが進化した方法の道筋をつける役割を果たしたのかもしれません」とエバンスはいう。

エヴァンスらは、新型コロナのパンデミックで屋外の現地作業が制限される中、主として公開された記録に基づく国際データベースを利用して、原生代末期の多様性の変化に関するさまざまなアイデアを検討した。

「多くの種類の動物が失われましたが、その体の構造や行動が大量の酸素を必要としていた種が特に強いダメージを受けたと思われます」とエバンスは説明する。「これは、絶滅というイベントが環境に支配されていたことを示唆しています」
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翻訳=高橋信夫

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