筋力トレーニングは健康に有益であることがわかっており、検討すべき活動かもしれない。筋トレを正しく行えば、年齢を問わず、メンタルと身体機能を向上させることができる。以下では、筋トレのみに取り組んだ場合と、筋トレと有酸素運動を組み合わせて取り組んだ場合のメリットを説明した既存の文献を紹介していこう。
筋トレの効果とは
体力強化トレーニングが体に良いことは、多数の文献で示されている。とりわけ効果があるとされているのが筋トレだ。
ある研究で、「特別な運動をしていない」健康な18歳以上の被験者を対象にメタ分析を実施したところ、筋トレには、安静時の血圧を下げたり、心血管の転帰不良リスクを軽減する血流依存性血管拡張反応(FMD)を改善したり、心肺状態を強化したり、血液バイオマーカー(特に高齢者)で良好な結果が得られたりといった効果があることが明らかになった。
また、筋トレがメンタルヘルスに与える効果に着目した別の文献レビューでは、筋トレを行うと、一貫して不安が軽減されたり、認知力が若干から中程度改善したりするほか、全般的な自己肯定感や生活の質(QOL)が好転するなど、健康な成人のメンタルヘルスが向上することが明らかになっている。
筋トレのみ、あるいは筋トレと有酸素運動を組み合わせた場合にも、筋機能と生活全般の質が向上するというメリットが得られた。新型コロナウイルス感染後の初期治療で、患者が遠隔リハビリテーションによる運動プログラムを実施した場合の効果に着目した研究では、倦怠感や息苦しさが大幅に改善されたことがわかっている。さらに、筋トレと、低強度から中強度の有酸素運動を組み合わせたトレーニングによって、筋肉量の増加と握力の上昇も見られた。