「感情的」と評価されても、男性は女性より信用度が下がらない

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「感情的」というレッテルを貼られたり、「落ち着く」ように命じられたりした場合、女性に限って、その人の意見に対する信用度が下がるという研究結果が発表された。

現状では、カマラ・ハリス米副大統領から、著名テレビ司会者のオプラ・ウィンフリーに至るまで、政治やエンターテインメント、ビジネスをはじめとするあらゆる分野で、自分の意見を主張する女性に対して「感情的」というレッテルが貼られることが多い。

一般的には、人の性格を「理性的」か「感情的」のどちらかに分類し、1人の人が両方の性質を兼ね備えていることを想定しない考え方が主流となっている。そのため、ある女性の主張を感情と結びつければ、それは、明確な考えや、理性的な考えに基づいていないということになる。その結果、この女性の主張の信用度が下がってしまうのだ。

こうした「感情的」というレッテルと、女性が行う主張に対する評価との関連性を裏付ける研究論文が、学術誌「Psychology of Women Quarterly」に2022年10月11日付で掲載された。この研究では参加者に、意見の異なる2人のあいだで交わされる会話のスクリプトを読んでもらった。

この会話は、登場人物の女性あるいは男性が、「落ち着きなさい」と言われる内容だった。この場合、異を唱えている女性の主張には正当性がない、と評価される割合が有意に高くなった。類似の研究で、話者の女性に「感情的」だというレッテルが貼られた場合にも、同様の結果が出た。つまり、どちらの状況でも、女性の信用度が大きく落ちる結果につながっている。

興味深いことに男性の場合は、「感情的」とレッテルを貼られたり、「落ち着きなさい」と言われたりしても、信用度が下がることはなかった。これは、男性に関しては、「感情的」という評価が額面通りには受け取られないからだ。

参加者は、「感情的という評価が女性に向けられた時はそのまま信じるが、男性の場合は信じなかった」と、研究チームは記している。「具体的には、全く同じ状況で女性と男性がそれぞれ『感情的』とされた場合、(反論している)女性のキャラクターは、男性よりも感情的だと受け止められる傾向があった」

「落ち着く」ように、あるいは職場で感情的にならないようにと注意されることに、不満を抱く女性は多い。オプラ・ウィンフリーは以前、「ハリウッド・リポーター」誌のインタビュー記事で、CBSの報道ドキュメンタリー番組『60ミニッツ』に出演していた当時、話し方が感情的すぎると批判された体験について語っていた。この番組では、自分の名前の言い方さえ、感情的だととがめられたという。

「自分の名前の言い方も練習しなければならず、名前に感情を込めすぎだと言われるのは、決して気分のいいものではない」と、ウィンフリーは振り返っている。

「『感情的すぎる』という理由で、名前を言うだけなのに7テイクを要した。『感情が入りすぎているのは、「オプラ」と「ウィンフリー」どちらのパートですか?』と私から質問したほどだった」とウィンフリーは述べている。さらに、同番組ナレーションのパートでも、声の抑揚を抑え、感情を示さないように指示されたという。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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