食費の節約や、環境への配慮、健康維持を同時に実現しようとする人は増えている。そうした中、食品のラベルが正しい選択の指針となり得ることを示す複数の研究結果が最近発表された。
エコラベルで持続可能な食事を奨励
学術誌ベヘイビオラル・パブリック・ポリシー(Behavioural Public Policy)に9月に発表された論文では、人は正しい方向に背中を押されると持続可能な食品を選ぶ傾向にあることが示された。
研究チームは、英国の成人1399人を対象にオンラインでアンケート調査を実施。参加者は年齢・性別・民族の面で英国の人口構成を反映する人々が選ばれた。
参加者は、食事の宅配注文として、牛肉・鶏肉・ベジタリアンの計3種類のブリトーのうちの一つを選ぶよう求められた。どれも価格やカロリーは同じで、いずれもフェアトレード認証を受けていた。
参加者のうち、対照群となる3分の1はこれだけの情報を基に注文。別の3分の1は、ベジタリアンが「一番人気」だと伝えられた上で注文した。残る3分の1は、それぞれのブリトーが持続可能性の高さで順位付けされている「エコラベル」付きメニューを渡された。(持続可能性は牛肉が最低、鶏肉が中間、ベジタリアンが最高とされた)
結果、エコラベルを示された集団ではベジタリアンを選んだ人が84%で、対照群の69%を上回った。メニューの人気度を示された集団では、ベジタリアンよりも鶏肉を選んだ人が多かったものの、牛肉を選んだ人はやはり少なかった。
カロリーを運動量で表示
英ラフバラー大学の行動科学者チームが、豪メルボルンで最近開かれた国際肥満学会で発表した研究結果では、食品のカロリーを消費するにはどれくらいの運動が必要かを食品ラベルに含めるべきであることが示唆された。
英国では、食品の脂肪分や糖分の量を緑・黄・赤の3色で示す「信号」方式のラベルが採用されているが、2600人以上を対象としたアンケート調査の結果、「このケーキを食べた場合は90分のウオーキングが必要」と書かれた情報の方が、信号方式の表示よりもカロリーを理解しやすいと受け止められることが判明した。これは、食品廃棄の減少にもつながるかもしれない。