そのシューが、フォーブスがこのほど発表した中国の富豪100人の長者番付に、25位で初めて名を連ねた。保有資産は100億ドル(約1兆4600億円)と推定されている。
2012年に事業を開始したシーインは今年4月、ニューヨークを拠点とするプライベートエクイティファンド、ジェネラル・アトランティックなどから10億ドル以上を調達したと伝えられている。このときの評価額は、1000億ドルだったとされる。
その後、同社の評価額は引き下げられたと言われているものの、この時点では、「ファストファッション大手のザラとH&Mの時価総額の合計を上回った」と報じられていた。
メディアへの露出を避けてきたことで知られるシューは、南京にある商社の検索エンジンマーケティング(SEM)の専門家として、キャリアをスタートさせた。2008年にはその南京で越境ECビジネスを立ち上げ、さらにその3年後には、シーインの前身となる「シーインサイド(SheInside)」を創業。ウェディングドレスのオンライン販売を行っていた。
さらなる事業拡大へ
広州にも拠点を構えたシーインは現在までに、およそ1万人を雇用し、150カ国・地域で事業を展開する一大ファストファッション・ブランドとなっている。
新型コロナウイルスのパンデミックが続くなかで急成長を遂げたシーインの売り上げは、このところ伸びが鈍化し始めたと指摘されている。だが、それでも今年上半期の売上高は、160億ドルを超えたとみられる。
最大の市場である欧米でさらに足場を固めるため、シーインは今年に入り、欧州各国の主要都市でポップアップストアをオープンするなど、ブランドの認知度を高めることに力を入れている。
また、4月には米インディアナ州に同国で初となる物流センターを開設。より短時間での配送の実現を目指している。来年前半にはカリフォルニア州に、2カ所目のセンターを開設する予定だ。さらに、北東部に3カ所目の施設を設置することも検討中だという。
一方、ファッション産業が環境に及ぼす影響への懸念が高まるなか、シーインは6月、米国とガーナを拠点にファッション関連の廃棄物の削減を目指して活動を行う非営利団体、オア・ファンデーション(Or Foundation)に、向こう5年間で5000万ドルを寄付することを約束している。
(forbes.com 原文)