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2022.11.13

本格化するインパクト投資。ビックテックの次を生む「21世紀の革命」

イラスト=ジャコモ・バグナラ


こうしたインパクト投資の本格化には、テクノロジーの進化などを背景に、高収益をあげる社会課題解決型企業の出現があげられる。「テスラやビヨンドミートなどがその代表例だ。営利事業を通じて社会課題解決を目指す企業が増加している」

前述のロナルド・コーエンによると、「インパクト革命はすでに社会的責任、ビジネスモデル、投資に対する考え方を変えつつある。技術革命が20世紀を象徴するように、インパクト革命が21世紀を象徴するものとなりつつあるのは明らかだ」という。

それは起業家、投資家、大企業、政府、一般市民という5つのステークホルダーにイノベーションをもたらし、考え方と行動を変えるともいう。技術革命が、アマゾンやアップル、グーグル、メタを生んだように、このインパクト革命もこれからの世界に欠かせないインパクト企業、スタートアップを生み出すだろう。

中村は最後に次のように話す。「金融資本主義の発展とともに、社会課題が自律的に解決される社会の構築には、『未来意思』があふれるインパクト志向の起業家・企業の増加がさらに必要だ。ロールモデルが生まれたことで、日本でも、Z世代など若い世代をはじめとした起業家にその影響が及んでいることを感じる」

こうした日本でも生まれている、インパクト企業やインパクトスタートアップの存在は、経済が発展することで、自然と増え、社会もよくなるという「逆説」を実現し、世界をポジティブに変えるだろう。コーエンが言う「インパクト革命」は日本でも始まろうとしている。


なかむら・まさと◎GLIN Impact Capital代表パートナー。総合商社で途上国事業、テクノロジー新規事業開発(ベンチャー投資、新規事業)担当。ハーバード・ビジネス・スクールに留学し、米国アキュメンファンドにてインパクト/ESG投資に従事。2020年より現職。

文=フォーブスジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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