もちろん、学費はそれに見合った金額だ。13年前は年間5万ドル強だった記憶があるが、現在は年間6.9万ドル。1ドル140円で換算すると、なんと967万円である。同時に、奨学金制度も充実しており、25%の生徒は何らかの支援を受けながら通学していると言う。
Cate Schoolウェブサイトより
日本ではまだ低い知名度
米国の西海岸では、ボーディングスクールと言えばCate Schoolの名前がすぐに挙がってくるが、日本ではまだそれほど知名度が高くないのか、日本人は全校で1名、米国育ちの生徒のみ。留学生の比率も13%程度とそれほど高くなく、60%がカリフォルニア州出身者だというから、ダイバーシティはあまりないのかもしれない。だからこそKyle Mason氏のような担当者が、各地を飛び回ってリクルーティングをする必要が出てくるというわけだ。
最後に、進学実績について。同校のWebサイトを見ると、スタンフォードからUCバークレーまで軒並み(特に西海岸の)名門大学の名前が並ぶ。ただ、これはあくまでも結果論。高校は大学進学のためだけに行くものではないので、進学実績だけを理由に選ぶのではなく、学校の特徴、雰囲気、教師陣との相性など、もっと本質的な観点で選ばれるべきではないかと思う。
Cate Schoolの特徴をもうひとつ挙げるとすると、アートに力を入れていることかもしれない。
訪問時に、デジタルフォトグラフィーのセッションを覗かせてもらったが、(あくまでも素人の私の目から見たら)生徒たちの作品が本格的なことに驚いた。セラミック専門の校舎棟もあるし、ハリウッドの音響専門家がデザインしたというレコーディングルームは、プロが収録に使うほどのクオリティだという。シアターも充実しており、パフォーミングアーツも盛ん。
米国のボーディングスクールというと遠い存在のように感じる方がほとんどで、昨今の為替相場に鑑みてますます手が届かなくなりつつあるのも事実かもしれない。
ただ、ロサンゼルスやサンフランシスコを訪れる際には、ちょっと足を伸ばしてサンタバーバラを観光がてら、こんな学校の空気感に触れるだけでも、「教育」という言葉の意味を考えるいい機会になるのではないかと思う。次回は、近隣の全く違った校風の学校も紹介したい。
連載:日本と世界の「教育のこれから」