歴史はあるけど気取らない 西海岸の名門「Cate School」訪問

(c)Cate School

入国制限が緩和された今夏、久しぶりに渡米した。世界中どこへ行っても学校を訪問するのが趣味のようになっている私としては、この機会に改めて訪問したい学校があったので、足を伸ばしてみた。

ロサンゼルス国際空港から車で2時間ほど、美しい街並みで知られるサンタバーバラから程近い丘の上に、Cate Schoolは佇んでいる。

9年生から12年生(日本では中学3年生から高校3年生に該当)のためのボーディングスクールで、一学年70名程度、全校で280名と言う少人数校ではあるが、そのキャンパスは実に広大。アドミッションズオフィスでは、アウトリーチの責任者を務めるKyle Mason氏が弾けんばかりの笑顔で迎えてくれ、ゴルフカートでキャンパスツアーを回ることになった。さすがカリフォルニアだ。


筆者撮影

キャンパスの特徴はさまざまあるが、兎にも角にも、Cate Schoolの最大の特徴は、まるで家族のようなコミュニティなのだと痛感した。行き交う人々が皆、すれ違うたびにカートや車を停めて話しかけ、お互いをファーストネームで呼び合い、ハイファイブをする。

実はこの学校を訪れるのは2回目、13年ぶりだが、前回も同じ印象を受けたことが鮮明に脳裏に蘇ってきた。

当時ここで、1名の教員あたり6〜8名の生徒がアサインされる“advisory”について学び、 advisorがadviseeたちと毎週会って彼らの学業から生活まで親身になって相談に乗る制度が素晴らしいと感じ、ISAKでも参考にさせてもらった。


Cate Schoolウェブサイトより

南カリフォルニアの太陽に抱かれて


コミュニティのカルチャーもさる事ながら、教育関係者でなければ、真っ先に目にとまるのはこのキャンパスの美しさかもしれない。

冬を除いてはほとんど雨が降らないこの地において、どうしたらこんなに緑が豊かなキャンパスを実現できるのだろう、と不思議に思うくらいに緑が眩しい。1910年設立という歴史を誇る学校だけあって、運動場からテニスコート、ラクロスコートからプールまで、各種設備も整っており、資金の潤沢さがうかがえる。


筆者撮影

前回の訪問時には老朽化が進んでいたいくつかの施設が見違えるようになっていたことにも驚いた。カフェテリアや生徒のラウンジ、アドミッションズオフィスは、さながらブティックホテルのような雰囲気さえ漂っている。
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文=小林りん

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