「エコノミーは拷問」 航空機の狭い座席、米国で規制求める声

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米航空各社はここ数十年にわたり、機内により多くの乗客を詰め込もうと、座席の間隔を縮小してきた。シートピッチ(前方の座席との間の間隔)は1980年代、79~89センチだったが、米非営利団体フライヤーズライツ・ドット・オーグによると、現在ではわずか71センチの飛行機もある。

米連邦航空局(FAA)は最近、狭い機内についての意見をウェブサイト上で公募。そこに寄せられたコメントの数々は、座席の広さに対する不満が広まっていることを示している。

ある人は「身長6フィート5インチ(約196センチ)の人間としていわせてもらうと、航空機の座席は私のような高身長の人を考慮していない」とコメント。別の人は「全ての座席はビジネスクラスと同じになるべきだ。エコノミーは、2時間以上のフライトでは拷問だ」と書き込んだ。また、座席のサイズや間隔の縮小が緊急時の避難に与える影響を懸念する声も上がった。

米議会は2018年10月、座席の快適性に加え、避難の際の安全性を検討するため、FAAに対して機内の座席サイズの見直しを要請した。FAAは避難のシミュレーションを行い、「避難に関する追加データは有益となるかもしれない」との見解を示したが、状況は何ら変わらなかった。

FAAは座席のサイズや間隔を規制していないことから、現政権はFAAと航空会社に対し、何らかの対策を取るよう圧力をかけている。フライヤーズライツも最近FAAに対し、快適性と安全性の理由から、座席の仕様に最低ラインを設けるよう求める請願を提出した。

しかし業界関係者によると、この問題はそれほど単純なものではなく、最終的には乗客がその代償を払うことになるかもしれない。

旅行サイト「ザ・ポインツ・ガイ(The Points Guy)」の編集長スコット・メイヤロウィッツは「誰もが航空会社を批判したがる」とし、座席サイズについての苦情の多くは経済的な現実を考慮していないと指摘した。「航空機に詰め込める人の数が多ければ、それだけ利益は高まる。航空会社の言葉を借りると、採算が取れる状態に近づくということだ」

メイヤロウィッツいわく、狭い座席の問題については、既に自由市場に基づいた解決策がある。「足を伸ばすスペースがほしければ、その分の追加料金を払うことができる。広いスペースが本当にほしいならば、ファーストクラスを購入できる」

では、政府が規制を始めたらどうなるのだろうか? メイヤロウィッツは、運賃が15~20%上がる可能性もあると指摘。「帰省や旅行のたびに追加で50ドルや100ドル支払う」必要が出てくるかもしれないと語った。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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