ホワイトハウスの会見で今週の中間選挙と外交問題について語った大統領は、ブルームバーグのジェニー・レナード記者から、マスクが国家安全保障上の脅威となり得るかを質問された。さらに、マスクがサウジなどの外国政府からの資金でツイッターを買収したことについて、調査の必要があるかどうかを問われた。
「イーロン・マスクの他国との協力関係、あるいは技術的な関係は、調べるに値すると思う」とバイデン大統領は述べた。「彼が不適切なことをしているかどうかについて、私は言及しない。私はたた、それが調査に値するものだということを示唆しているだけだ」
バイデン大統領とマスクの関係は以前から冷え切っていた。マスクは、大統領が老人であることを嘲笑し、「バイデンは、湿った靴下で作った、人の姿をした指人形だ。彼は、米国人を馬鹿にしている」と罵倒したこともある。
マスクは、大統領が電気自動車(EV)市場におけるテスラの功績を無視し、代わりにGMとフォードが独自のEV事業を立ち上げようとする努力を賞賛したことに激怒している模様だった。
ただし、マスクの事業の外国政府とのつながりに懸念を抱いているのは大統領だけではない。民主党のクリス・マーフィー上院議員を含む議員らは、マスクがツイッターの買収にあたり、サウジ資本の助力を仰いだことが国家安全保障に関わる問題だとして、対米外国投資委員会(CFIUS)に審査を要請した。
サウジのアルワリード・ビン・タラル王子はマスクのツイッター買収に19億ドルを投じ、ツイッターの2番目の大株主になった。さらにカタールの投資ファンドも、ツイッターに3億7500万ドルを出資している。
また、ツイッター以外でも、マスクのビジネスは別の懸念を生んでいる。スペースXは、ロシアの攻撃を受けたウクライナに、衛星インターネットサービス「スターリンク」を無償で提供しているが、マスクは、この支援を打ち切るかどうかを検討している。
ロシア、中国との関係にも懸念
この背景には、テスラがバッテリーの原材料として、ロシアのニッケルを必要としていることが指摘されている。マスクは先日、ウクライナ戦争を終わらせるための和平案をツイッターで提案したが、その内容がロシア寄りであるとの批判を浴びた。また、テスラは中国で自社工場を運営することを認められた唯一の外国の自動車メーカーであるため、マスクは中国とのつながりも重視している。
そのため、自国ではツイッターを禁止している中国が、新疆ウイグル自治区の人々の処遇などの政策に対する批判を最小限に抑えようとしたり、台湾に友好的な意見を弾圧したりして、ツイッターに対する影響力を行使するのではないかという見方も多い。
今年に入って約50%下落したテスラの株価は、9日のナスダック市場で7%下落し177.59ドルをつけた。
(forbes.com 原文)