米学生ローンの利払い再開、個人消費への打撃必至

Getty Images

米国では年明け早々、学生ローンの利払いが約3年ぶりに再開する予定となっている。米経済がすでに軟化しているかもしれない時期に、消費者支出の足かせになるおそれが強い。その影響は、来年1月の支出の伸びがゼロになるほど大きなものになる可能性もある。

コロナ対策の利払い猶予、ついに打ち切りへ


新型コロナ経済対策の一環で、連邦学生ローンの利払いは2020年3月以来猶予されてきた。それが2023年1月、ついに再開することになっている。学生ローン救済案をめぐってはいろいろなことが言われているが、利払いの再開は米国の消費者にどのような影響を及ぼすのだろうか。

個人所得データに基づくと、2020年2月から4月にかけて消費者による利払いは約500億ドル(約7兆3000億円)減っている。この間の同年3月に、学生ローン返済の一時停止などを盛り込んだ「CARES法」が成立している。

もちろん、減少のすべてが学生ローン分というわけではないが、大半はCARES法の影響である。政府はこの法律によって378億ドル(約5兆5000億円)の金利負担が免除されたと見積もっている。

378億ドルというのは相当な額だが、経済全体で考えても問題になる規模だろうか。その可能性はある。2022年9月の商品・サービスへの総支出額は17兆6000億ドル(約2560兆円)となっている。

その0.2%ほどの額を学生ローンの利息として支払う必要が出てくる。個人消費の伸びは2022年の大半の期間、実質ベースで前月比約0.1〜0.3%で推移している。学生ローンの利払い再開による影響が、2023年1月の個人消費の伸びを大幅に鈍化あるいはゼロにし、2023年第1四半期の消費をやや下押しする可能性は十分ある。

増える金利負担、家計はどう対応?


ただ、金利負担の増えた消費者がどのような家計管理で対応するかは不透明な面もある。支出を削る可能性が高いと思われるが、貯蓄を減らすほうを選ぶかもしれない。

たしかに、学生ローン返済が一部免除されたため、利払いは2020年2月の水準に戻るとは限らない。それでも、まだ相当額の学生ローンが残っているのが実情だ。

学生ローンの利払い再開は、やはり来年初めの消費に影響を与えることになるとみられる。住宅市場の軟化や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続など米経済に対するほかのリスクも考え合わせると、望ましくないタイミングでの再開になりそうだ。

Forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

ForbesBrandVoice

人気記事