暗号通貨取引所FTXの創業者でCEOのバンクマンフリードは、「香港フィンテックウィーク」カンファレンスにビデオ通話で参加し、香港が暗号通貨のハブとしての地位を回復できる可能性があるとの考えを示した。
バンクマンフリードは、ハブになる可能性が残っているアジアの都市として香港、シンガポール、韓国の釜山の名前を挙げた。彼は、10月31日に次のようにツイートした。「香港政府から暗号通貨に関する実に有望な発表があった。ただし、これが昨年発表されていればという思いもある」
バンクマンフリードがこう述べたのには理由がある。彼は昨年、香港の規制が明確でないことと、コロナ規制が厳しいことを理由にFTXを香港からバハマに移転させたのだ。
香港政府は、仮想通貨関連ビジネスに対して「オープンで包括的でありたい」と述べ、金融規制当局は個人投資家の暗号通貨投資を許可することを提案した。当局は、暗号通貨取引所向けにライセンス制度を導入し、個人投資家による仮想資産投資を「適度に認める」ことについて、意見を公募を開始する。
これまで、香港政府は暗号通貨取引をプロの投資家に限定してきたが、今回の発表はその政策の転換を意味する。香港は、2018年に暗号通貨プラットフォームに任意のライセンス制度を導入し、800万香港ドル(約1.5億円)を超える流動資産のポートフォリオを有する個人のみに投資サービスの利用を制限してきた。香港は、来年3月からライセンス取得を義務化する方針だ。
バンクマンフリードは、資産額に基づいて暗号通貨取引を制限することを批判し、暗号通貨の持つ本来の目的を果たせないと主張した。「富に基づくテストは非常にまずい考えであり、世界にとって悪いことだ」と彼は述べていた。
彼は、金持ちだけが暗号通貨市場に参加できることを「深い階級差別主義」と呼んで批判し、「商品やそれに伴うリスクについて豊富な知識を持っている者」が取引を許可されるべきだとの考えを示した。
香港政府は、トークン化した資産の財産権やスマートコントラクトの適法性についても検討するという。トークン化した資産とは、不動産や債券などの所有権を証明するブロックチェーン上のデジタルトークンのことだ。