砂糖の原料となるのは「サトウキビ」と「てん菜」の2つの植物である。世界全体で見ると砂糖生産量の約80%がサトウキビ、残りの約20%がてん菜だ。
また、令和3年の農林水産省の報告によると、日本の砂糖の供給はオーストラリアやタイから輸入したものが約100万トン、国内で生産されたものが約80万トンとなっている。実に約56%の砂糖を海外から輸入している計算である。
今回は、日本にも深い関係がある、海外のサトウキビ栽培における問題を解説する。
焼き畑による環境汚染と品質低下
サトウキビの頂上部分や葉を燃やすと収穫効率が上がるため、タイでは焼き畑を行っている生産者が多い。
特に雨季になると収穫作業が進まなくなり、焼き畑を行う農家が増える。
しかし、焼き畑を行うと有害物質が発生し、大気を汚染してしまうという問題があるため、近年では批判が高まっている。
燃えるときにサトウキビの栄養が分解されてしまい、サトウキビ自体の品質が下がってしまうデメリットもある。
サトウキビ農園での児童労働
ジンバブエのとあるサトウキビ農園では、両親を亡くした9歳の男の子が、祖母のために学校も行かずに働いている。
男の子に払われる賃金は、2週間に1度の2ドルだけ。
子どもたちは、毒ヘビや健康を損なう危険が潜んでいるプランテーションで防護服を身につけずに働かされているのだ。
過去には、高校生の女の子がサトウキビ畑の火災に巻き込まれ、焼死した痛ましい事件も発生している。
土地を追い立てられる民族
サトウキビはバイオエタノールとして石油に代わるエネルギーとなることを期待されているが、その裏では栽培のために先住民から土地を奪っている現状がある。
世代を超えて土地を受け継いできた民族グループが土地を追い立てられており、14の共同体の800世帯、計3200人が追い払われたという報告もある。
EUのバイオ燃料に関する目標を達成するためにイタリア国土の半分の土地が必要とされていることから、土地を追い立てる行為が止まらないのだ。