AIがスパコンと量子コンピュータの良いとこ取り コンピュータは新たな次元へ

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コンピュータの計算能力というのは、何を計算させたいのかによって違ってきます。処理能力高いコンピュータとして有名なところでいうと、日本の誇るスーパーコンピュータ「富岳」でしょう。スーパーコンピュータの世界ランキング「TOP500」で4期連続(2年間)1位を獲得してきましたが、現在は2位となっています。

一方、最近よく聞くのが「量子コンピュータ」ではないでしょうか。これは、量子力学における物質の性質を利用したコンピュータで、これまでのコンピュータでは長時間かかる計算も短時間で解けるということで、世界的に開発競争が激しくなってきています。

ただ、この量子コンピュータは万能というわけではなく、量子シミュレーションや機械学習などの一部計算にしか有効ではありません。ほかにも、特定の分野にのみ処理能力を発揮するコンピュータも開発されており、利用者は解きたい内容によってどのコンピュータを利用するのか考える必要がありました。

そこで富士通は、利用者が解きたい問題に対して計算時間や演算精度、コストといった要件に応じてAIが最適なコンピュータを自動で選択し演算できるソフトウェア構想「Computing Workload Broker」を企画。その先駆けとして、量子化学計算の問題に対して、量子コンピューティング技術とハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を組み合わせて自動的にハイブリッド計算する量子・HPCハイブリッド計算技術を世界で初めて開発しました。


具体的には、世界最大クラスの39量子ビットの量子コンピュータと「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した「PRIMEHPC FX700」を用いて、利用者の解きたい量子化学計算の問題に応じて最適な計算手法をAIが自動で組み合わせて選択するものです。これにより、利用者は専門的な知識が無くとも、解きたい問題に対して最適な形で量子シミュレータとHPC技術を利用可能になります。



今後このAI技術を発展させ、さまざまなコンピュータ資源をうまく活用し、誰もが専門知識を必要とせずに利用可能なプラットフォームが構築されることを期待したいところです。

文 = 飯島範久

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