アマゾンが「梱包資材の簡素化」発表
ところが2022年8月、そのアマゾンが梱包資材の簡素化を発表したのだ。目的は梱包資材の削減とより良い顧客体験の提供とし、後者に関しては消費者の開封や廃棄処理にかかる手間を減らすためだという。
梱包材には紙袋とポストインサイズの箱が使用されるほか、商品によっては配送用の梱包をせずにメーカーの梱包のまま届く。ギフトやコレクター向け商品は対象外で、アマゾンの独自配送網での配達時のみが対象だ。
意外?アマゾン、2015年から梱包資材「150万トン以上削減」
梱包資材簡素化の背景には、段ボール市場全体の生産量増加があるとみられる。巣ごもり需要により、ネットショッピングの利用が増えた影響だ。
2022年の段ボール需要予測(出典:全国段ボール工業組合連合会)
https://zendanren.or.jp/data/pdf/siryo/2022yosoku.pdf
その中でアマゾンは2015年から梱包資材を150万トン以上削減してきたというのだから、EC(電子商取引)市場におけるアマゾンの存在感を考慮すれば社会的貢献度は高い。
「シェア狙い」で化粧箱に流れる?
アマゾンの動きとは逆の動きもある。ここ数年では、SNSでシェアされる「映えるパッケージ」に注力する企業も増えているのだ。シェアにより商品の認知度とブランド力が向上するからだ。
消費者のネットショッピングが増えたことで、DtoC(Direct to consumer)と呼ばれる卸や小売店を挟まない消費者へ直接商品を販売するビジネスモデルが存在感を増した。SNS拡散はDtoCにおける広告のいち手法であるため、なおさら勢いがある。
そうなると、化粧箱は紛れもなく商品の一部であり、アマゾンの動きとは相反することになるだろう。物流代行を担う中で「顧客購買体験」を支援する富士ロジテックホールディングスの西間木智氏に話を聞いた。
「商品を受け取ったとき、箱を開封したときにいかに感動を与えるかが、顧客満足度に影響すると考えています。Instagramでは、その感動に基づいて購入者が自発的に商品を宣伝してくれますよね。梱包材にこだわるだけでなく、緩衝材にもきれいな色のついたものを使う、ふた裏にメッセージを施すなどの工夫とともに環境に配慮した資材を提案しています」西間木氏は提供している「感動梱包」についてこのように説明した。