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2022.11.11

アドビが提唱する「脱cookie」時代のデジタル広告とマーケティング

Getty Images

近年、デジタル広告分野では、「サードパーティーcookie」を廃止する動きが強まっている。

サードパーティーcookieとは、アクセスしたWebサイトと異なるドメインが発行したCookieのことで、アップルは、トラッキング防止機能「Intelligent Tracking Prevention」を使って既にその多くをブロックしており、Chromeも2024年にサポートを停止する予定だ。

従来、マーケターはサードパーティーcookieを使ってキャンペーンの効果を測定したり、顧客のターゲティングを行っていたが、今後はこれらのプロセスに大きな混乱をもたらすことになる。

ロサンゼルスで開催されたアドビ主催のカンファレンス「Adobe MAX」で、同社のデジタルエクスペリエンス事業のプレジデントを務めるAnil Chakravarthyは、人工知能(AI)がマーケターの課題解決に役立つという考えを示した。彼は、マーケターにとって特に大きな課題であるパーソナライゼーションなどを支援するために同社が開発した新しいツールを紹介した。

アドビの新ツールの1つが、10月上旬にリリースした「マーケティングミックス・モデリング」だ。同社はAIを活用することで、ROI(費用対効果)の分析に要する時間を数カ月から数週間に短縮した。

このサービスは、タッチポイント・アトリビューションを分析するアルゴリズムモデルである「Attribution AI」と連動している。アドビは、自社が保有するファーストパーティデータを用いて、どのチャネルやキャンペーンが高いROIを達成したかを把握できるようにしている。

AIは、マーケティングにイノベーションをもたらしている。例えば、ホームセンター大手のロウズ(Lowe’s)は店舗に自律走行ロボットを導入し、来店客が探している商品を見つけるサポートをしている。また、ザ・ノース・フェイスは、AIを使って顧客の好みに合ったジャケットを提案し、セフォラも同様の技術を使って化粧品を提案している。

ChakravarthyによるとアドビはCMO(最高マーケティング責任者)の役割の変化に対応して製品を進化させている。「かつて、CMOの役割はメッセージングやブランディングだったが、現代のCMOは最高顧客責任者のような存在になりつつある。彼らは、どのように顧客とエンゲージできるかを自問している」とChakravarthyは言う。
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編集=上田裕資

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