前回はアーティストの草野絵美さんに、日本人クリエイターが直面する海外へのマーケティングをどう構想すれば良いのかを伺った。草野さんと他のWeb3クリエイターの違いは「顔を出している」ことだ。「表に立たない」という文化が醸成されているWeb3界隈だが、草野さんはなぜ積極的にメディアに出ているのか。
前回記事:草野絵美のWeb3海外マーケティング 「言語の壁」をどう打破するか
水野:草野さんはテレビなどメディア露出も多いですが、Web3業界以外の人たちからの見られ方は気にしていますか?
草野:私はWeb3とかNFTをもっと身近に感じてもらいたいという思いからマスメディアに出ています。関わる人が増えれば税制も法規制も進むし、裾野も広がっていくと思うんですよ。NFTが抱えている「あやしさ」みたいなものも、人が増えていくことで払拭していけるんじゃないかって。
実際にZombie Zooを知ってNFTアートを描くようになったというアーティストの方もいらっしゃいます。NFTが話題になることで「誰でも参加できる」ことを知ってもらい、何かに挑戦したい人がもっと増えたらいいなと思います。クリエイターが可能性を感じられる世界にするには、私がどんどん体験談を話すのがいいかなと思って、頑張っているところです。
逆にメディアに出たことで、Zombie Zooと著名人の方とのコラボが実現したということもありました。またギャルバースもメディアに取り上げられたことでブランド的な価値を上げてもらうことができ、メディアに助けてもらっている部分も大きいですよ。
水野:NFTの世界だと顔出しをしないクリエイターも多いですが、表に立っていると厳しい言葉を投げかけられることもありますよね。
草野:そうですね。昔は批判されたら、引用RTして反論したり、いちいち落ち込んだりしてましたが、今はあまり気にしなくなりました。悪意ある攻撃は徹底的に無視。建設的になりえる批判や意見の交換も、ネット上だと短絡的なやり取りになってしまうので、大事な議論はリアルでするように心がけています。
水野:攻撃されたくないし、危険な目にあいたくないから顔を出さないという人も多いですよね。
草野:水野さんは、そのあたりはどう感じますか?
水野:その作品を誰がやっているのかは、どこかでしっかり担保すべきだと思います。例えば「ドラゴンボール」の鳥山明先生や「ONE PIECE」の尾田栄一郎先生みたいに、顔を出していなくても作者が存在していることが、わかればそれでいいのかもしれない。
でも、Web3コンテンツの世界では「顔を出さない」ことと「クリエイティブやプロジェクトの責任を持たない」ことがまだごちゃまぜになってしまっている気がしています。今はまだそれでよくても、きっとそういったプロジェクトは駆逐されていくような気がしています。
草野:たしかに、クリエイターやプロデューサーがしっかり“見えている”作品は信頼性を得やすいですよね。