マスクのツイッターが「中国とロシアの言論介入」を招く危険なシナリオ

Elon Musk(Getty Images)


「認証バッジ」有料化に絡む懸念


さらに、マスクが支配権を握ったツイッターで、もうひとつの大きな問題になり得るのが、認証済みユーザーに与えられる「青いバッジ」の付与方法を変更する計画だ。この認証バッジは有名人や政治家に与えられ、マスクはこの仕組みを「領主と農民のシステム」と呼んでいる。

マスクは、このような慣習をやめ、月額8ドルの料金でユーザーにマークを提供することを計画している。そうすることで、「リプライやメンション、検索での優先順位」が確保されると、彼は述べている。

しかし、この計画の実行で「お金を払えば誰でも認証バッジを手に入れられることになる」と、専門家は批判している。「ニュースや正確な情報を求めてツイッターにやってきた人々は、認証バッジにお金を払った人の投稿を信じるようになる」と、彼らは述べている。

マスクの混沌とした経営スタイルは、ユーザーにとっても従業員にとっても、混乱を悪化させていくのみだろう。しかし、マスクにとっていちばん大事なのは、ツイッターを所有することで得られるステータスで、それ以外のことはどうでもいいのかもしれない。

「世論をコントロールすることこそが、彼が最も得意とすることだ。今、自分のプラットフォームを持てば、どこまで物事を進められだろう、と彼は考えているのかもしれない」と、世界的EVコンサルティング企業「ゾゾ・ゴー」のマイケル・ダンCEOは、筆者の取材に述べた。

米国の元国務長官のヘンリー・キッシンジャーは、かつて「権力は究極の媚薬だ」と言った。日々のニュースや政治報道のための強力な配信システムをコントロールすることは、マスクにとっても究極の媚薬なのかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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