中国やロシアの影響力を防げるか
さらに、言論の自由と民主主義の擁護者にとってのもう一つの懸念は、外国の政府がマスクのツイッターに及ぼすであろう影響力だ。
マスクの買収を支援したサウジアラビアのアルワリード・ビン・タラル王子は、ツイッターの2番目の大株主で、19億ドル相当のツイッター株を保有している。カタール投資ファンドも3億7500万ドルを出資しており、こうした中東勢の投資は、米国の安全保障上の懸念を呼び起こしている。
一方、テスラはバッテリーの製造にロシアのニッケルなどの鉱物資源を必要としており、マスクは先月、プーチンのウクライナ戦争を終わらせるための計画をツイッターで提案したが、その内容が明らかにロシア寄りのものだと非難を浴びた。
また、自国ではツイッターを禁止している中国が、新疆ウイグル自治区の人々の処遇などの政策に対する批判を最小限に抑えようとしたり、台湾に友好的な意見を弾圧したりして、ツイッターに対する影響力を行使するのではないかという見方も多い。
「マスクは中国やロシア、ブラジル、トルコ、インドなど、世界中で何百万台ものテスラを売りたがっている。これらの政府はすべて、ツイッターでどんな発言をすべきか、すべきでないかについて強い意見を持っている」とジャファーは語る。
「彼らはマスクのところに来て、『あなたが削除していないこの投稿は、我々にとって問題だ』とか、『我々の政策を批判しているこれらの匿名ユーザーは、我々にとって有害だ』と言い出すだろう」と、ジャファーはフォーブスの取材に指摘した。
米国の国内政治への懸念もある。マスクは最近になって、共和党への支持を表明し、2024年の大統領候補として保守派のフロリダ州知事のロン・デサンティスを推すと述べている。また、6月には、「中道派」の候補のキャンペーンを支援するために最大2500万ドルを支出する用意があるとも述べていた。
マスクはまた、先日はナンシー・ペロシ下院議長の襲撃について根拠のない陰謀論をツイートして、その後削除し、2月にもカナダのトルドー首相をアドルフ・ヒトラーと比較する奇妙なツイートを行い、これもすぐに削除しており、政治関連の発言で自制心を欠いている。