ビジネス

2022.11.12

草野絵美のWeb3海外マーケティング 「言語の壁」をどう打破するか

草野絵美さんが手掛けるNFTプロジェクト「新星ギャルバース」


水野:タイトなスケジュールですね……。宣伝活動とは、どんなことをされてたんですか?

草野:日々行われてる海外のTwitterスペースに参加して、コミュニティ内でネットワーキングをしたり。話題の中心にいるインフルエンサーには近づけなくても、コミュニティビルディングや場づくりをしている人を見つけて社交を深めていって……。

もちろん雑談だけではなく、しっかり「ギャルバース」をアピールしたり、インフルエンサーの方にはファンアートとして特別なギャルバースの絵をプレゼントしたり。「この人のコミュニティならギャルバースの世界観に共感してもらえそう、シナジーが生まれそう」と感じるところに意識的にアプローチしていました。

水野:ギャルバースの世界観を広めていくのは、大変な道のりだったのではないでしょうか。

草野:英語がそれほどできるわけではないので、コミュニケーションに苦労することは多少ありました。ただ、英語圏のNFTコミュニティは日本と比較すると大きいですが、影響力がある方でもフォロワーが10〜20万人というような狭い世界なんです。そのため一度ギャルバースの世界観やプロジェクトの背景が伝わると、そこからは早かった気がします。

NFTのマーケット人口って日本では約1万人くらいと言われています。英語を使えばさらに何十倍もの人にリーチできるチャンスがありますし、日本に絞ってしまうのはもったいない。バイリンガルがチームにいれば心強いですし、Google翻訳やDeepLといった翻訳ツールを使ってコミュニケーションしてもいい。

私も英語はバイリンガルというほど流暢ではありませんが、やっぱり海外の方とやりとりすることで見えてきたものがたくさんあるし、だからこそギャルバースも評価してもらえているのかなと思います。

ギャルバースはそれまであまりNFT市場になかった1980~90年代の女の子向けアニメテイストの絵です。それに漫画絵のNFT界隈でも、萌え絵がメインストリームだったなか、媚びないギャルを意識していないこともあって、女性からもすごく評価をもらえているんですよね。

水野:草野さんが結成した音楽ユニットのSatellite Youngのときと似た、プロデューサー的な立ち位置なんですかね?セルフプロデュースの巧みさが活きているというか。世界に向けてそういう出し方ができるプロジェクトって稀有だなと思っていて。日本らしさを意識しすぎたり、海外のトレンドに寄せようとして日本っぽさを失ってしまったり。そのあたりのバランス感が絶妙ですよね。

草野:Satellite Youngは、日本では知名度がないけど海外フェスでライブをするというようなユニットでした。なので日本の「80年代」を意識しつつも、リバイバルではなく新しさがある、みたいな。それが海外の方にもウケたし、そういう“逆輸入”的な流れを作るのが好きなのかもしれません。

文=水野和寛 編集=露原直人

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