まず「fail fast(早めに失敗せよ)」という考え方がある。多くの人がこの神話を信じている。イノベーションには変化が必要であり、たとえ市場セグメントから脱落し、サービスを取りやめ、スタッフを解雇することになっても、起業家精神からすばやく方針転換しなければならないことを受け入れている。「Failing fast」は往々にして顧客や従業員、さらには自分自身の誠実さに忠実でないことを意味する隠語だ。また、通常手っ取り早く利益を上げるための手段でもある。
一方で、Twitterのようなソーシャルメディア企業は大規模な投資を行って大規模なフォロワー(約3億人のユーザー)を獲得し、有名になった。ドーシーは多くの人が知っている帝国を築き上げ、今なおTwitterを使っている人もいる。実際のユーザー数が少なくなっていても、Twitterは高い認知度を誇っている。テック産業が成長するとき、誰もが祝福する。あるアプリが途方もない成長と拡大を達成すれば、皆そのイノベーションをもてはやす。
TwitterやFacebook(フェイスブック)のように何千人もの人材を採用しても、サービスに真の柱がない場合やビジネスモデルが持続可能でない場合、あるいはプラットフォームの成功が信頼できない場合、往々にして暗雲が立ち込める。
会社が急成長しているときは「成長、成長、成長」と叫ぶ。解雇があると、ドーシーのような大富豪はまずもって会社を作ったのは誇大宣伝機に巻き込まれたからだと謝罪する。どっちなんだジャック?
そもそも維持する価値のあるサービスがないのに、無謀な急成長を遂げることは決して良い兆候ではない。浮かれていた時代にインフラ構築を手伝い、コンテンツを監視し、成長を指揮したTwitterの従業員は、ドーシー、そして今イーロン・マスクが再活性化させたいと願う動乱に巻き込まれたにすぎない。
特にTwitterのコメントを読んだ後では、誇大宣伝に対する謝罪があれば少しはマシだった。メリットがあるサービスを作ってこなかったこと(少なくとも、今のところ)、我々が現在目の当たりにしている広告ボイコットに耐えられる、あるいは凋落期を乗り切れるようなサービスを作っていなかったことに対しての謝罪だ。
今回の教訓は何か。何か価値あるものを作れということだ。そうすれば謝る必要はない。
(forbes.com 原文)