ベクテルは、社員との会話が変化する中で、バーチャルアシスタントのコンセプトが浸透していることを実感していた。「最初は、私が部屋に行くたびに、『ジョー、君はいかれてる。ここにあるプロセスは自動化できないよ』といわれたものです」と彼はいう。「でも、そのうちに『このボット(バーチャルアシスタント)にはどんな名前をつけたらいいの?』と聞かれるようになったのです」
些細なことに思えるかもしれないが、ボットに名前を付けることは導入プロセスの重要な一部だったとベクテルはいう。「自動化に関して意図的なブランディングを行う必要がありました。そうすれば、人々はこれを単なる一時的な流行とは思わずに、彼らとともに進化する同僚と思うようになるのです」そんな話し合いの中から「Allie」という名前が生まれたのだ。
知的な同僚であるAllieは休んでいたり、静止していたりすることはない。ベクテルは「Allieは、新しいスキルを身につけるにつれて、同僚たちとともに成長し、成熟していくでしょう」と語る。「そしてその仕事も変容し、コピー&ペーストだけではない、より複雑な仕事へと進化していくのです。Allieはまた、文書処理をレイヤー化することで進化し、スキルアップし、プログラムが成熟するにつれて、より多くの(自然言語処理)作業を行うようになるでしょう。私たちはそのアプローチをどのように行うかについて熟考を重ねました」
Allieは、単なる数字の計算や報告書の作成にとどまらない、真の同僚としての役割を担っている。ベクテルは「私たちは、ユーザーとシステムの両方をどのように訓練するかというような、デザイン思考から始めました」と語る。「私たちは、『可能性の追求』というセッションを設けて、自動化のための最適なフローやユースケースを教えています」
たとえば、Allieは現在、請求業務で医療従事者をサポートしている。ベクテルは「以前は、薬や治療の適応外使用の請求がありました」という。「この場合、薬剤師は情報を調べ、その請求を認めるか否かを正しく判断しなければなりません。しかし、その患者さんの各種属性に基づいて、過去にどれくらいの頻度でその請求が承認されたかという統計にはアクセスできていなかったのです。現在のAllieは、薬の適用に関する承認・拒否率などを含む、さまざまな情報を調べて収集することができます」
Allieの目的は「医療従事者を意思決定プロセスから排除するのではなく、医療従事者の判断を補強し、関連するすべての情報を自由に使えるようにすること」だと彼はつけ加えた。
(forbes.com 原文)