生物学のイノベーションの最先端
空間生物学の市場規模はまだ小さい。年初に学術誌「European Biotechnology」に掲載された記事によると、グローバルの市場規模は約2億5000万ドルで、2028年には5億ドル近くに成長する見込みだという。
Resolve Biosciencesは、2020年にGammackとAxel Heinemann(57)、Peer Schatz(57)によって設立された。同社は、「分子地図作成」と呼ばれる技術によって、このギャップを埋めることを目指している。Gammackによると、この技術によって研究者はがん細胞の遺伝子構造だけでなく、その細胞の環境で起きていることをより深く理解することが可能になるという。「科学者たちは、個々の細胞や、組織内におけるそれらの相互作用を3次元空間で見ることができる」と、彼は言う。
Resolve Biosciencesは、顧客に対して、細胞内レベルの遺伝子発現の高解像度画像を提供している。例えば、最近行われた実験では、同社の技術を用いて健康な人の肝臓と、肥満の人の肝細胞のアトラス(地図)が作成された。この結果は、学術誌「Cell」に掲載された。
Resolve Biosciencesは、大口の顧客に対して機器や付随する消耗品を販売するという、生命科学の分野ではよく見られる事業モデルを採用している。また、資金が不足していたり、装置を所有する必要のない研究者のためには、空間生物学技術を用いてサンプルを解析する「データ・アズ・ア・サービス」を欧州と米国にある2つの研究所で提供している。
Gammackは、シリーズBで調達した資金で技術の商用化を拡大すると同時に、既存技術を発展させるために、自社の製品開発能力を強化する予定だという。
「シーケンシングと同様に、空間生物学にも特定の用途に向けたニーズがあるだろう。このため、我々は複数の機器を開発することになるが、イノベーションの最前線を進み続けるためには、研究開発の観点からも、生物学の観点からも、多くのリソースが必要となる」とGammackは述べた。
(forbes.com 原文)