ところが現状、日本起業家が海外に投資しにくい税務システムが残っているのが不満です。課題としては、我々みたいな起業家が、世界に向けて一兆円十兆円規模のビジネスに挑戦して、数字で結果を出すのも、政府に向けた説得力に成るのかな?とも感じています」
ガバナンス・トークンに関して、平は「若い起業家がweb3の分野で起業するためにシンガポールに移住する事実もありますが(苦笑)。国民の皆さんに国が、暗号資産を証券と同じようにリコメンドする空気感は、まだ無いです。一方、トークン自体が多種多様になってきて、もはやトークン=ビットコインでは無い。そのような状況を鑑みながら、丁寧に税制改正や法整備を行なっていかないといけないな、と考えています。」
自分次第で選択肢が広がる、多様な働き方の実現
では、働き方については、どう変わるのだろうか?
「兼業するようになる。但しグローバルなコミュニティには、英語=語学力は絶対に必要」と示唆するのは、自身も複数のDAOで活動している湯川。一方、「起業意欲がある人の可能性が広がる。新しい働き方が実現できる」と予想するのは、渡辺。「でも、それを見つけていくのは、自分達。日本のWeb3と中国のWeb3は同じはずがないから。日本発で世界に発信していきたいので、現在それを模索している最中です」
政府に近い立場から平は、こう考える。「グローバルな視点から見ると、E S G投資、ダイバーシティやサステナビリティって日本は強い分野です。
日本は、ポテンシャルが高いが、これまで政策の歪みで、最大化出来ていなかった。日本は、ドバイやシンガポールのような税制はなかなか難しい状況です。G7として、Web3が荒れた無法地帯にならないように、『with trust』を念頭に置きながら推進していきたいと考えています。
また、DAOはその性質上、当初は多産多死になる可能性が高く、全部上手くいくと思ってはいけない。今は、DAOを作るのに弁護士も銀行口座も要らないので、色々と試してみるのがいいと思います」とも語る。
撮影:伊藤 淳