ビジネス

2022.11.05

Web3時代、企業に必要な「マインドセット」とは

自民党Web3PTの座長・平将明、Astar Networkファウンダー・渡辺創太、ITジャーナリスト・湯川鶴章、Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長・谷本有香


Web3によって、企業から人間ファーストの未来へ!


Web3になって大きく変わることについて、平の見解は、日本のポテンシャルを最大化する要素が沢山あるので、活用すべきと考えている。

「Web1.0と2.0では、日本は完全に乗り遅れて、日本からGAFAが出て来なかった。そしてWeb3でも同じ過ちを繰り返そうとしている。一方、日本はものづくりが得意だったが、バブル崩壊後、世界は金融で稼ぎ、今はデータで稼いでいる。さらに、経済安全保障問題も出てきていて、データ分散化をどうしようか?という時にWeb3が出現したのです。

Web1.0や2.0をレイヤーで分けると、ベースにプロトコルのレイヤーがあり、その上にアプリケーションのレイヤー、更にその上にコンテンツレイヤーがある。Web2.0は、アプリケーションレイヤーがとても厚い。ここがポイントで、このアプリケーションレイヤーが利益を搾取してしまう。

ところが、web3は、コンテンツレイヤーがぶ厚い構造になっている。ここの部分は、アニメやゲーム文化を扱う秋葉原を見渡しても分かるように、日本が非常に得意とする分野。だからこそ、日本の成長戦略の重要な柱としてWeb3を活用していくことが大切だと思います」。

要約すると、日本は、ゲーム、アニメ、食、伝統文化など優れたコンテンツが揃っているので、規制環境さえ整えば、Web3の中心になれる可能性を多大に秘めている、ということに。


撮影:伊藤 淳

湯川は、Web3のポテンシャルとは、ずばり分散化だと解く。「Web3は分散型と言われ、非中央集権で、富や経済がひとつのところに行かないと言われています。ところが一方では、NFTで何億儲けたなどのニュースも飛び交っていて。

どっちが正しいの?と、繰り広げられるマネーゲームに違和感を持っている方も多いのでは?その要因として、Web3で出来る1%くらいしか現状では、まだ完成していない。だから、本当の意味でのポテンシャルがまだ見えて来ないのです」。

「最初は、同じコイン同士の交換システムだった。ところが、次のステージでは、同じ価値ではない、コインではない場合のトークン=NFTが台頭。そして、救世主のごとく今年2月に、ヴィタリック・ブテリン氏が、譲渡不可能な新トークン『ソウルバウンドトークン』を発表しました。

これによってプライバシー正誤がコントロール出来る。するとAI機能も向上し、と、経済スパイラルが上手くまわるのです。よって、Web3が認知されることで、将来的には、富や経済が皆に分散されていくと思います」


撮影:Yoshiki SAKAZAKI

「Web3とは、価値の民主化。人間にとって選択肢が増えるのがメリットです」と渡辺は語る。「例えば、打ち合わせでお互いパワーポイントを使っているとしましょう。情報共有するためにインターネットを使って送受信することができます。しかし、これが1000円など価値をもつものをインターネット上でトラストレスに送受信しようとすると今までできなかった。

ブロックチェーンでは、オンライン上で価値の複製が出来ない。今後は、Web3を活用して、不動産などの従来ネット上では価値を扱えなかった分野もどんどん価値を持つ世の中になってくるであろうと考えます」と見ている。

「web2では、デジタル広告の7割がトップ3企業で占められています。それは、自身のツイッターやスマホで買物した履歴が知らず知らずに精査されていて。企業が独占的に利益を上げ、企業がカスタマイズした広告画面が出てきていたのです。つまり、他人によって情報操作されていた。ところが、Web3は、データを企業が持つのではなく、自分自身で持つ選択肢が可能。よって、企業中心のデジタル社会から、人間中心のデジタル社会へと変化していくのです」


撮影:伊藤 淳
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文=中村麻美 撮影=伊藤 淳、Yoshiki SAKAZAKI

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