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2022.11.10

スタートアップ・コミュニティ独自の最適解を探せ! ダイバーシティ推進

仮屋薗聡一 撮影=若原瑞昌


このような背景が功を奏してか、日本ベンチャーキャピタル協会として今回ダイバーシティ&インクルージョンへの取組みを本格化することに理事会からの異論は皆無、業界一丸となって取り組んでいくことにコンセンサスを得ることができた。

22年春には、JVCAのVC会員ならびにCVC会員に向けて行った、ダイバーシティ&インクルージョンに関する調査を実施。計59社から回答を得、結果を公開している。
 
「ダイバーシティ促進が企業評価やVCのパフォーマンスに影響を及ぼすと考えているか」という質問に対しては、95%が「大いに影響がある」「一部影響がある」と回答。 VC/CVC各社における女性や外国人の比率は、各社の社員における女性比率は26%、外国人比率は6%で、キャピタリストにおける女性比率は16%、外国人比率は9%という結果だった。

回答各社とも、ダイバーシティ促進を重要視しており、組織として配慮もしているが、まだ推進の余地が大きいといえる。

JVCAは、投資家業界のみならず、スタートアップ業界全体のダイバーシティ&インクルージョン推進のために活動していく方針だ。JVCAとしても、主催イベントの登壇者における女性・LGBTQ・外国籍・障がい者の割合を目標20%とするイベントポリシーを新たに策定し、今年度より実践している。 

しかしながらスタートアップとそれを支えるVC業界は起業創業期や急成長期のハードシングスも多いため、決してワークライフバランスが良いとは言えず、日本のみならず世界的にも男性比率が高い傾向にある。

そのような現状も認識しているため、私達のこの取り組みには確固とした意思が必要だ。幸い私達は業界の使命として、日本発世界に冠たるスタートアップを生み出し産業創造を通じて日本の社会に貢献する、という創造的な目標を掲げそれを共有し、業界が一丸となったエコシステムへと成長してきた。
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文=仮屋薗聡一

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