DIIのメンバーでもある、グロービス・キャピタル・パートナーズの共同創業パートナーで、日本ベンチャーキャピタル協会前会長の仮屋薗聡一氏に業界とD&Iの取り組みについて聞いた。
日本のベンチャーキャピタル(VC)業界におけるダイバーシティ取組みの重要性について私の意識が高まったのは、2018年にシドニーで行われたグローバル・ベンチャーキャピタル・コングレスがきっかけであった。
世界各国のVC協会のトップが2年に一度集まり、各国が状況を報告、互いの知見を共有し、国別で地域性の高い我々の業界においてグローバルでの連携を協議しあう国際会議だ。
私が会長に就任して2度目の参加となったシドニー大会での私のミッションは、来る2020年の大会をオリンピックに合わせ東京に招聘することであったのだが(招へいは無事成功したが2020年の大会はコロナにより残念ながらキャンセルとなった)、この時の全体セッションのメインテーマの一つがパワハラ・セクハラへの業界対応と女性活用であった。
折しもGAFAMを筆頭にテック業界のスタートアップが世界のイノベーションと資本市場をけん引していく流れがますます勢いを増しており、VC業界の立ち位置もより社会の本流に位置付けられるようになっていっていた。
そのような情勢で攻め一辺倒になるだけでなく、業界における喫緊の課題と目されていた事項に正面から取り組んでいた米国VC協会からの報告は目から鱗であり、きっと近い将来日本でも同様の課題に対峙する時が来ると確信した。
以来、協会として毎年パワハラ・セクハラの研修を行い、そこに協会の会員に積極的に参加してもらい業界内における意識づけを行ってきた。