ジェフ・ベゾスの元家政婦が人種差別と「過酷な労働環境」を告発

ジェフ・ベゾス(Photo by Dave J Hogan/Dave J. Hogan/Getty Images)

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスのシアトルの豪邸で勤務していた元家政婦が、人種差別や過酷な労働条件に直面させられたと主張する裁判を起こした。ベゾスの弁護士は、この主張が事実ではないと否定している。

ベゾスの元家政婦のメルセデス・ウェダ(Mercedes Wedaa)は11月1日、シアトルの州裁判所で訴訟を起こし、2019年9月からベゾス邸で働き始めた彼女は、ベゾスや彼の家族が家にいる際に、食事のための休憩を与えられず、1日に10~14時間働いたと主張した。

ウェダはまた、ベゾスの家庭の管理者の1人から人種差別を受けたと主張している。訴状によると、その人物はヒスパニック系の彼女に対して、「攻撃的で乱暴な態度」をとり、白人のスタッフとヒスパニック系のスタッフに、異なる扱いをしたという。

また、家政婦たちには休憩室が与えられず、洗濯室で食事休憩を取る場合に最寄りのトイレを使うことが禁じられ、別のトイレに行くために窓から降りることを強要されたという。

トイレに行くのに時間がかかるため、多くのスタッフが尿路感染症を発症したと、訴状には書かれている。ベゾス邸で3年近く働いた後に解雇されたウェダは、金銭的な損害賠償を求めている。

ベゾスの弁護士のハリー・コレルはフォーブス宛ての声明で、ベゾスや彼の恋人のローレン・サンチェス、ベゾスの不動産を管理するノースウェスタンLLCが、人種や国籍に基づいてウェダを差別したという訴えが、「ありえない主張だ」と述べている。ウェダには6桁の給料が支払われ、家政婦のリーダーだった彼女には、休憩時間や食事の時間を自分で決め、スタッフ用のトイレや休憩室を利用する権限が与えられていたとコレルは述べ、労働条件に関する彼女の主張に反論した。

コレルによると、ウェダの解雇は「パフォーマンスの問題」によるもので、彼女は当初900万ドル(約13億円)の支払いを求めたが、会社が支払いを拒否したため訴訟を起こしたという。

配送スタッフはペットボトルに排尿


アマゾン創業者のベゾスは、全米のアマゾンの労働者の雇用環境についても非難を浴びている。労働安全衛生局のデータによると、2021年にアマゾンの倉庫で報告された負傷案件は3万8000件を超え、そのうち従業員が通常の職務を果たせなくなるか、完全に欠勤せざるを得なくなる「深刻な負傷」に分類されるものが、3万4000件だったという。

英国のジャーナリストのジェームズ・ブラッドワースは、2018年の著書の「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した(原題:Hired:Six Months Undercover in Low-Wage Britain)」で、アマゾンの配送ドライバーが厳しいスケジュールを守るため、ペットボトルに排尿していると書いた。アマゾンは当初、これが事実ではないと否定していたが、2021年4月に「そうせざるを得ない場合もある」と認め、誤って否定してしまったことを謝罪した。

フォーブスはイーロン・マスクに次いで世界2位の富豪であるベゾスの保有資産を、1136億ドルと推定している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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