小売業者の大半は、このような考え方をしていない。だが、定期購入は、小売業者が現在、最大の課題のひとつとしている「顧客の獲得と維持」に活用することが可能だ。
ピータースは、「顧客に自分が特別であると感じてもらうことは、KPI(重要業績評価指標)におけるすべての数値を高めることにつながる」と指摘する。そして、扱う製品が消耗品の場合、「サブスクリプションは、さらに重要なものになる」と述べている。
サブスクリプションが、すべてに対する答えになるわけではない。だが、消費者への売り込みに利用することが可能な販売形態の一つではある。その特徴である配送頻度の変更やキャンセルがより簡単に行えるものであれば、消費者はこの形態を受け入れるだろう。
小売業者が実店舗とオンラインという複数のチャネルで商品を販売する方法を学んだのは、もうかなり前のことだ。それが実現されるまでに時間がかかったように、サブスクリプションという形態を事業に活用できるようになるまでにも、時間がかかるだろう。だが、それでもこれを取り入れる企業は、増えていくはずだ。
サブスクリプションについて柔軟に考え、ロイヤリティ向上のためのツールとして、また顧客との関係構築のために、これを取り入れていくことに、大きな機会がある。
ヴィクトリアズ・シークレットは、サブスクリプションが大きな可能性を秘めた未開拓の販売形態であることを認識したからこそ、アドアミーを買収したのだろう。こうした目的による買収は、今後さらに増えていくと考えられる。