アドアミーは、契約した顧客が毎月、受け取った一定数のランジェリーのなかから購入するものと返品するものを決めるサブスクリプション(定期購入)販売を中心に事業を展開してきた。
サブスクリプションは新型コロナウイルスのパンデミックの発生に伴い、利用者が増加した形態ではあるが、小売業者の大半が導入しているというものではない。その「サブスク」に、ヴィクトリアズ・シークレットが興味を持つのは、なぜなのだろうか?
米クリエイティブ・エージェンシー、ヤードNYCのルース・バーンスタインCEOは、“有機体”であるブランドのロードマップには、どのような伝達手段もプラットフォームも含まれるべきだと語る。
つまり、ビジネスは実店舗や直販、サブスクリプションといった特定の販売形態のみを特徴とすべきではなく、適応し、成長するために考え方を変化させていく必要があるという。
サブスクリプション形態での販売が適しているのは、ランジェリーだけでない。たとえば、朝食向けの食品、調味料などはほぼすべてが、サブスクリプションに向いている。バスルームで使用する製品も、大半がそうだ。
サプリメントを開発・販売するユニリーバ傘下のオリー(Olly)の直販事業担当マネージャー、ジェニファー・ピータースは、サブスクリプションは単なる販売形態の一つではなく、顧客との関係を構築するための方法の一つだと指摘する。
定期購入の契約者には、サンプルの提供などをはじめとする特別な、“次のレベルの”体験とサービスを提供することができる。ピータースは、顧客がブランドに対して定期購入を契約するだけの関心を示すのであれば、ブランド側もその顧客に、より大きな関心を払う必要があると述べている。