そもそも、メタバースはまだ存在していない。現在のオンライン消費者のうち、メタバースユーザーになる可能性があると答えた人の数は半分以下だ。メタバースを提唱するMeta(メタ、Facebookの親会社)のReality Labs(リアリティ・ラボ)部門は、直近の数四半期に毎期数十億ドル(数千億円)規模の損失を出している。そして、NFTもそれほど良い結果を出していない。NFTの取引量は9カ月で97%減少し、NFT応援団が約束した価値提案は実現しないかもしれない。
これは、何もかもが失われたことを意味するのだろうか? それは正確ではない。メタバースはインターネットの3D体験層となるだろう。これはインターネットの2D体験層がワールドワイドウェブだったことと似た話だ。しかし、そのビジョンが完全に実現されるまでには10年はかかるだろう。
では2023年にはどのような状況になっているのだろう? 景気減速を前にして、私たちForrester(フォレスター)はメタバースとNFTが市場を冷え込ませる冬の季節を予測している。中期的には、これは悪い展開ではないだろう。テクノロジーベンダーも企業も、市場を前進させるためのインフラやユースケースを構築するという大変な作業を、より緩やかに行うことができるようになるからだ。しかし2023年には、状況が最終的に温まるまで、セーターとコートを着用する必要がある。具体的には、次のように予測している。
1. メタバースの「ポケモンGO」誕生を目にすることはない
Niantic(ナイアンティック)が2016年に発表した「ポケモンGO」は、拡張現実を大衆にもたらし、新たな社会的コミュニティを作り出し、その作り手に60億ドル(約8834億4000万円)もの収益をもたらした。「Fortnite(フォートナイト)」のような空間で行われるコンサートが人気を博すなど、メタバース的な前兆体験は一部で見られるものの、ポケモンGOレベルの盛り上がりを体験できた消費者はほとんど存在しない。