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2022.11.04 08:45

自動運転分野にも米中対立の影、米TuSimpleが中国人創業者を追放

Getty Images / ホウ・シャオディ

Getty Images / ホウ・シャオディ

物流トラック用の自動運転システムを開発する「TuSimple(図森未来)」は、同社の共同創業者でCEOのホウ・シャオディ(侯暁迪)が、「中国企業への不適切な融資と技術移転に関与した」という報道の直後に彼を解雇した。ホウはこの疑惑を否定している。

このニュースを受け、TuSimpleの株価は約50%下落した。

同社の取締役会は、ホウの解任を「満場一致で決定した」と発表した。「この決定は、7月に当社の監査委員会が開始した調査に関連して行われたもので、メディアの報道とは無関係だ」と同社は述べている。

ホウの更迭は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が10月30日、TuSimpleの共同創業者のMo Chenが設立した中国の水素トラックの新興企業Hydron Inc.とTuSimpleの関係を、連邦捜査局や米証券取引委員会(SEC)、対米外国投資委員会(CFIUS)らが調査していると報じた直後に行われた。

TuSimpleは事業拠点を米国に置き、パートナーも米国企業が主であるにも関わらず、株式の大部分は中国の投資家が保有しており、CFIUSは以前から同社の株式の取得に関わる取引の詳細の開示を求めていた。

関係者によると、米当局が懸念しているのは、ホウを含む幹部がHydron社との関係を適切に開示しなかったことで、証券法違反の可能性があるという。また、TuSimpleが米国で開発した自動運転テクノロジーが、Hydron社と共有されていた場合、米国の規則に違反する可能性があるという。

TuSimpleはこの報道に言及していないが、ホウは31日のLinkedInの投稿でこれを否定した。

中国生まれのホウは、上海交通大学でコンピュータサイエンスを学び、カリフォルニア工科大学でPh.Dを取得した後の2015年にChenとともに同社を立ち上げた。彼らは、混雑した都会の道路よりも高速道路の方が自動運転が導入しやすいことや、長距離トラックの運転手不足が続いていることから、物流トラックの自動運転化のほうが乗用車よりも商業化が早いと考えた。

アルファベット傘下のウェイモやオーロラ、コディアック(Kodiak)などの企業も、今後数年のうちにロボットトラックを市場に投入するために競い合っている。

ホウの更迭は、自動運転テクノロジーの普及の見通しが悪化したタイミングとも重なった。先週は、フォードとフォルクスワーゲンがこの分野の有力企業である「アルゴAI」への出資を停止すると発表していた。

サンディエゴに本拠を置くTuSimpleは、業務担当執行副社長のErsin Yumerを暫定CEOに指名し、新会長には、取締役のBrad Bussが就任した。

ベアード・リサーチ社の株式アナリスト、ベン・カロは、ホウの解任を受けて同社の格付けをアウトパフォームからニュートラルに引き下げた。

TuSimpleの株価は、31日のナスダック市場で46%急落し、3.43ドルで取引を終えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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