経済・社会

2022.11.03 12:00

Netflixでも注目、億万長者の「なりすまし詐欺犯」の呆れた手口


ブランソンの名前は、過去に何度も詐欺師たちに利用されている。2017年には、ブランソンを騙る詐欺師が、英領ヴァージン諸島を襲ったハリケーン「イルマ」後の災害救助のために緊急融資を受けられると思い込んだ米国のビジネスマンから200万ドルを奪った。

ブランソンは、彼のなりすましが金融詐欺や暗号通貨詐欺を行っていると警告を発しており、詐欺対策の提唱者のような存在になっている。ヴァージングループは現在、詐欺を報告するためのポータル「Report a Scam」を運営し、ブランソンは、なりすましについて警告するアニメ動画のナレーションを担当した。

また、昨年11月にはブランソンが当時のボリス・ジョンソン首相に詐欺的なオンライン広告の取り締まりを要求していた。

ベゾスの元妻を騙る詐欺師


また、ブランソンの名声が詐欺師を引き寄せたのと同様に、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスの元妻のマッケンジー・スコットの名を騙る詐欺師も増加している。

スコットは、2020年半ばから1250以上の団体に127億ドルを寄付したが、彼女の寄付はあまりに広範囲に渡るため、実際に寄付を受けた人の多くが、スコットの代理人が詐欺師だと思ったほどだ。案の定、彼女のなりすましが約束した数百万ドルの「偽の寄付話」を信じ込んだ人々が、数千ドルを奪い取られる事件が頻発したことをニューヨーク・タイムズ(NYT)が昨年報じていた。

一方、暗号通貨関連の詐欺師も近年増加している。世界的取引所のバイナンスの創業者でCEOのチャンポン・ジャオは先月、詐欺的な投資スキームでツイッターをうろつく彼のなりすまし集団について警告した。

また、連邦取引委員会は、世界一の富豪であるイーロン・マスクになりすました詐欺師が、昨年6カ月間にわたって200万ドル以上の暗号通貨ドージコインを盗んだと報告している。

さらに、今後憂慮すべきことの一つが、ディープフェイクを用いた億万長者のなりすましだ。今年5月にはBitvexという名の偽の暗号通貨プロジェクトが、イーロン・マスクのディープフェイクを用いて投資を呼びかけた。ステージから話す偽のマスクは、ぎこちない声でこのコインを売り込み、投資家たちに「毎日30%の配当を一生与え続ける」と説明していた。

「なんだこれは! これは私ではない」と本物のマスクは後にツイートしていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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