モーニング文化が根付く名古屋・栄の近くにある「加藤珈琲店」がテイクアウト用に販売するコーヒー(Sサイズ)だ。前日の閉店時間の円相場を反映し、毎日コーヒーの価格が変動する。
円安ドル高が進行し、円安傾向の収束が見通せないなか、物価高で値上げラッシュが続き、私たちの生活にもじわじわと影響が広がっている。
話題の珈琲店は、この状況をどう受け止め、対処しているのだろうか。店長の池田龍太郎さんに話を聞いた。
──なぜ円相場に連動して価格が変わる「1ドルコーヒー」の販売を始めたのでしょうか。
コーヒーは石油に次ぐ2番目の国際相場商品です。輸入商品のため為替の影響のほか、収穫量や需給バランスによって変動します。オフィス街にある喫茶店なので、お勤めの方に円相場を通じてコーヒーに興味を持ってもらいたいと、約20年前に始めました。
コーヒー豆はブラジルが主な生産国ですが、いまはかなり値上がりしていますね。気候変動の影響で収穫量が少ない上、円安で仕入れ値が高騰しています。
ちなみにテイクアウト用には、コーヒーはSサイズが1ドルのほか、Mサイズを1.5ドル、カフェオレはSサイズ1.5ドル、Mサイズ2ドルで販売しています。厳密に言えば、通常は1ドル+税で、タンブラーやマイボトルをお持ちのお客様には税なしで提供しています。ホットコーヒーはコクや苦味好きな人向けに深煎りと、すっきり飲みやすいマイルドコーヒーの2種類を日替わりで出していて、リピーターの方も多くいらっしゃいます。
──加藤珈琲店の特徴は。
1986(昭和61)年にオープン当初から大きなリニューアルはしておらず、内装はレトロな雰囲気。本格的なスペシャルティコーヒー専門の喫茶店です。
もっとも権威あるコーヒー豆の品評会「カップオブエクセレンス(COE)」の取り扱いは日本一、国際規格「Qグレードコーヒー」の取り扱いは世界トップクラスです。
コーヒーのオンライン販売もやっていて会社(honu加藤珈琲店株式会社)としては50~60種類の取り扱いがあり、こちらの直営店では20種類のコーヒーを提供しています。ブレンドやストレート、焙煎度が深煎り・浅煎りなどバランスよくピックアップしています。鮮度にもこだわりがあります。
店内では、コーヒーカップ2杯分(約240cc)たっぷりとお出ししているので、ゆっくりコーヒーを楽しんでもらえたら嬉しいです。
──珈琲以外の看板メニューを教えてください。
モーニングやそれ以外の時間でも食べられる、小倉トーストですね。ライ麦パンを使っていて、常連さんには「毎日食べても飽きない」と言っていただいています。週末になると、モーニングのため地元だけでなく全国各地からお客さんがやってきます。開店と同時に最大100分お待ちしていただくこともあります。インターネット販売を利用している方が大型連休にいらっしゃることも。
お昼は、卵とマヨネーズ、チーズ、トマトを挟んだキュランダサンドが人気。オーストラリアのキュランダ鉄道の売店で売っているサンドイッチをモチーフにしています。
コーヒーの種類が多いので、お客さんの希望を聞いてご提案できるようにコミュニケーションを大切にしています。その時、お話をすることが多いですね。
看板メニューの小倉トースト。外はカリッと中はフワッとしたライ麦パンを使用し、バターは2つたっぷりと