──名古屋の中心街・栄からも近く、喫茶店激戦区にあります。その中でどんな工夫をしていますか。
13坪の小さな店で、コロナ前までは23席だった席数はいま12席しかありません。営業時間は7~17時だったのを8~16時に短縮しています。そんななかで、創業当初からスペシャルティコーヒーに特化しているのが強みだと思います。円安ドル高の影響を受けながらも、看板のモーニングは「こんなに安くて良いの?」という価格を維持しています。
モーニングはいずれもコーヒーにパンなどがついて400~600円台を維持
ドリップコーヒーなど商品販売にも力を入れており、定番商品だけじゃなくて毎回新しい商品を楽しめるようにしています。ちなみに今日(10月31日に取材)提供しているのはハロウィンブレンド。クリスマスなど季節に合わせてコーヒーをご提案しています。
フードも期間限定で、名古屋らしくボリュームたっぷりの「味噌ベジタマサンド」なども出しています。観光の方に人気ですが、地元の方でも一度は食べてみようと思ってもらえるように企画しています。
コロナ禍の席数減少で店内利用は減ってしまいましたが、物販の商品やテイクアウトのコーヒー(1ドルコーヒーなど)を買いにくるお客さんに大きな影響はありません。おうち時間で家で加藤珈琲店のコーヒーを楽しもうと思ってもらっているのではないでしょうか。
店内は温かみのある木のカウンターが特徴。テーブル席もある
──円安と物価高によるモーニングなどへの影響はいかがでしょうか。
2021年に価格改定をするお店も多かったなか、うちは価格維持の工夫をしましたが、円安の影響もありことし7月にはモーニングやフードの一部は10~15%ほど値上げしました。パンの仕入れ値も1割ほど上がっていますが、一番人気なモーニングのトースト(1/2サイズ)とゆで卵付きのAセットだけはなんとか据え置き(税込418円)でやらせてもらっています。
コーヒー相場も高騰していますが、店のコーヒーの値段や量(2杯分)は変えていません。喫茶店にとってはなかなか厳しい状況ですが、来店してくださるお客様の笑顔を励みに現状を保っていますね。
──円安ドル高で「1ドルコーヒー」自体は高値をつけていますが、どんな思いですか。
2020年末には102、3円まで下がり、お客さまから「こんなに安くて大丈夫?」と言われていました。2011年には70円台まで落ち込んだこともあり、いまはその時より倍近くの140円台になっています。(10月21、22日は150円で最高値)
コーヒー相場は為替も影響されますが、収穫量や需給バランスなどさまざまな変動要因があり、投機の対象としても注目されているため、相場商品としては乱高下がなくなってほしいのが本音ですね。
──日銀は金融緩和策を維持し、アメリカは利上げを継続し、円安ドル高の収束はなかなか見通せません。今後どうなってほしいですか。
常連さんは為替の変化によって、利用数が減ることはなく、むしろ関心を持ってきてくれている新しいお客様も増えています。テイクアウト用の「1ドルコーヒー」については、日々変動する価格についてお客様と一喜一憂しながらやっていきたいです。正直、上がり続けるのは心配ですけどね。
オフィス街にある加藤珈琲店(左)週末にはイベントが目白押しの久屋大通公園からは徒歩ですぐ着く