「眠れない」「イライラする」 身体の不調と血糖の関係

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筆者は元々、入眠後3時間くらいで目が覚め、そこからしばらく寝られないなどと言う症状が続いていました。睡眠の質が悪く、早朝の身体の状態もかんばしくなく、日々の仕事に差し支える状態です。

糖尿病ではありませんが、家系的には糖尿病(腎臓系)の疾患家系です。糖尿病、慢性腎症、骨の病気など、腎臓にまつわる病気を患ったり、それが原因で他界したりしているケースが多く、特に糖尿病は高い確率で患っています。そこで、その症状が現れる前に体の調子を確認しようと、年に2回血糖のチェックをしています。


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低血糖とは、血糖が低いということだけでなく、何かの原因で血糖のコントロールが上手くいかず、安定した血糖の状態を保つ事ができない症状です。また低血糖症の裏には、高血糖と低血糖を繰り返す症状がある可能性もあります。

普通、血糖は食事後に緩やかに上昇して3〜4時間かけて緩やかに下降し、安定的に維持されます。しかしコントロールがうまくいかないと、食事後急激な血糖上昇が見られ、その後身体から出るインシュリンで急激に血糖低下を起こし、グラフにすると地震計のような上下度の激しい状態になっている事が多いのです。

人は低血糖になると、身体の恒常性を保つ為にアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌して血糖を上昇させて維持しようとします。もし、その低血糖が夜間に起きたら、睡眠中にアドレナリンが出ることになり、興奮状態で眠りが浅くなったり目が覚めてしまったりします。

筆者のように眠りが浅い、寝ていてもすぐに起きてしまう、なんて人は、夜間の低血糖を疑った方が良いかもしれません。

食事後に眠気やダルさがある場合は?


このように、倦怠感が強くやる気が出ない症状が続く低血糖に比べ、食事後すぐに眠気やダルさがくる、集中力が低下する、などの症状がある人は、急激な高血糖を起こす、俗に言う「血糖スパイク」(食後1〜2時間のうちに急激に140mg/dl以上の高血糖となる病態)の状態かもしれません。

この血糖スパイクが続くとインシュリンが慢性的に多く分泌され、やがて筋肉などへの糖の取り込みの感受性が低下する「インシュリン抵抗性」が生じ、将来的には糖尿病を発症するリスクがあります。


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このように血糖は多くの身体的な症状に関与しているので、インリュリンと血糖の関係を知ることは重要です。仕事のパフォーマンス向上や、トレーニング、ワークアウトなどの相乗効果にも役立ちます。低血糖が継続すると、メンタル面とともに身体面では筋肉が硬直して動けなくなることもあります。特にアスリートは著しくパフォーマスが落ちるので、パフォーマンス向上には、血糖の管理が不可欠になるのです。

さらに、血糖を把握することで、食事の管理や、薬・サプリメントの効果測定にも使うことができるかもしれません。一度自分の身体の具合をトラッキングして体調管理に役立てみてはいかがでしょうか。

ひょっとすると慢性的な疲労や、不定愁訴は以外と「血糖」の仕業かもしれませんよ。


(参考文献)
・清水泰行著『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』 (光文社新書)
・ロバート・H ・ラステング著『果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?』(ダイヤモンド社)
・Abbot (2020) “Libre Sense: Correlating Glucose and Performance”

文=高田浩孝

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