経済・社会

2022.11.03 09:00

ロシア占領地域の「ろ過キャンプ」で続く人権侵害の実態


OHCHRの報告によると、収容所ではモバイル端末をはじめとする個人の所持品が調べられ、個人情報が収集され、写真の撮影や指紋の採取が行われる。ろ過の対象となる人たちは、車中や設備の整っていない場所、過密な状態で一晩中、待たされることもある。

待たされている間、食料や水、衛生設備へのアクセスが不十分なこともあるという。OHCHRはまた、こうした手続きの間に女性や少女たちが性的虐待を受ける危険があることも危惧している。

一方、ろ過の手続きで不合格となれば、その収容所に何カ月間も拘束される可能性がある。また、そこから占領地やロシア国内の拘置施設、あるいは刑務所に送られることもある。

ろ過収容所で「使えるトイレもない監房に入れられていた」という16歳のある少年は、「ほぼ毎日、ウクライナ人の戦争捕虜が拷問される声を聞いたり、そうした様子を見たり」していたほか、「拷問に使われ、血で汚れた部屋の掃除をさせられていた」と証言している。

計画的な犯罪


ロシア当局がこれまでに尋問、拘束し、強制的にロシアに移送したウクライナ人は、90万~160万人にのぼると報告されている。これは、組織的な、計画的な犯罪だ。

ただ、こうした収容所の運用は、いまに始まったことではない。ロシアは2014年にウクライナ侵攻して以来、占領した地域でろ過を行ってきた。ろ過収容所の状況、そこに収容された人たちに何が起きているかについては、特に注視していく必要がある。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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