ビジネス

2022.11.02

オンライン注文し空港で受け取り、英ヒースロー空港が新たな小売の試み

Getty Images

英ヒースロー空港の小売店は新型コロナウイルス感染症の流行時には一時閉鎖していたが、現在すべてのターミナルで営業している。そして今、中流層向けの有名ブランドが空港に実店舗を持つことなく4つのターミナルで販売するという手法を試している。

現在、Aspinal of London(アスピナル・オブ・ロンドン)、Calvin Klein(カルバン・クライン)、Tommy Hilfiger(トミー・ヒルフィガー)の3ブランドの商品は、ヒースロー空港のeコマースポータルサイト「Heathrow.com」を通じてオンラインで購入することができる。ヒースロー空港では今夏、旅客1800万人の利用があり、今回の取り組みは旅客の急増に合わせて小売店舗の営業率を約90%まで引き上げた中でのものだ。

空港業界団体のACIヨーロッパが発表したデータによると、英国で最も利用客の多いヒースロー空港は利用客数が1970年代以来のレベルまで落ち込んだため欧州におけるトップの座を失っていたが、夏期に第2位に返り咲いた。

ヒースロー空港は、乗客の旅行時のショッピングに対する大きな需要や、フライト前のデジタルプラットフォームの利用増加を最大限に活用するため、事前予約などのオンラインサービスを強化している。

デジタル加速が進行中


10月初めに、フランスのカンヌで開催された世界の免税品展示会「TFWA World Exhibition」で、ヒースロー空港のリテール担当ディレクターであるフレイザー・ブラウンは「ページの表示回数によると、パンデミック前に見られたような取引のやり取りよりも体験的なやり取りが増え、デジタルの加速を目の当たりにしている。ここには年配の世代も含まれる」と話した。

新型コロナ以前、ヒースロー空港には「Heathrow Reserve & Collect」というプロダクトがあり、今回の取り組みはそれをベースにしている。対応能力年2000万人の第2ターミナルでは、小売店舗を商品ピックアップ場所として使い、試着室も完備している。同様に、British Airways(ブリティッシュ・エアウェイズ)が拠点としている第5ターミナルでもかつての外貨両替所が改装されていて、同空港はターミナル3と4でも同じサービスを提供するスペースを探している。
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翻訳=溝口慈子

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