ここまで来た? 機内食イノベーション

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国際線の空の旅を彩ってくれる楽しみの1つに機内食がある。しかし、アレルギー、健康上の理由、宗教や主義などによって、搭乗客のニーズは昔ながらの「ビーフ or フィッシュ?」もしくは「チキン or フィッシュ?」では対応できないほど多様化している。

そのニーズに応え、近年は機内食自体の多様化もめざましい。幼児食やアレルギー対応食はもちろん、ヒンズー教などの宗教にかかわる要望に沿ったメニュー、ベジタリアンミール、低糖質メニューなど、多種多様な「特別機内食」を航空会社が用意しているのだ。

特別機内食は事前申し込みは必要なものの基本的に追加料金なしで対応してくれるが、それとは別に食材や見た目にもこだわった機内食が楽しめる「有料機内食サービス」なるものもある。はたまた、機内食をパスできる「ミールスキップオプション」まであるのだから、至れり尽くせりだ。日本を代表する航空会社であるJALとANAの機内食事情をひも解く。

ニーズに細やかに応える特別機内食


おもてなしの心が根付く日系エアラインらしく、JALもANAも各人のニーズに細やかに応える特別機内食が用意されている。ここではJALの特別機内食を例に挙げていこう。

例えば、子ども向けの食事といっても1種類ではない。ポーチ・エプロン・瓶詰離乳食がセットになった離乳食(0~8カ月対象)をはじめ、乳幼児向け(9カ月~2歳未満対象)、子ども向け、28品目アレルゲン対応幼児食など、幅広いラインナップがそろう。

アレルギー対応食にも7品目アレルゲン対応食と28品目アレルゲン対応食があり、宗教に配慮した特別機内食もヒンズー教、ジャイナ教、イスラム教、ユダヤ教それぞれに対応したメニューがある。特にヒンズー教は、ベジタリアン対応しているものとしていないものの2種類があるという。ベジタリアンミールもそうだ。ベジタリアンヴィーガン用のもの、卵・乳製品を含むもの、生野菜を中心としたもの、中華風に味付けしたオリエンタル風味のものの4種が用意されている。

健康に配慮した特別機内食はもっと種類が多い。消化のよいもの、低塩分のもの、低糖質のもの、低カロリーのもの、低グルテンのもの、低脂肪のもの、フルーツを中心としたもの、低乳糖のもの、シーフードの食事と、実に9種類ものメニューがあるのだ。


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食の楽しみが増す有料機内食サービス


より多くの選択肢から好みに合う機内食をみつけられるようにと、2019年からANAが始めたサービスがある。それが事前予約制の有料機内食サービスだ。

プレミアムエコノミーかエコノミークラスの利用者が使えるサービスで、1食あたり2500円で通常の機内食から変更することができる。席はエコノミークラスで十分だが食事はワンランク上のものを選びたいという人におすすめだ。


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種類は和食か洋食かの2種類、プラスティックの容器ではなく、きちんとしたお皿で提供されるのが嬉しい。金目鯛の煮つけなど、食材や見た目にもこだわった華やかな食事が楽しめる。ただし、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で、一部路線では有料機内食サービスの販売を休止しているので注意したい。
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文=アステル 編集=石井節子

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