世界の気温と経済のデータを分析しているこの査読付きの研究によると、人為的な気候変動によって引き起こされた異常な暑さは、1992年から2013年の間に世界経済に16兆ドル以上、潜在的には65兆ドル(約9580兆円)もの損失をもたらしたと考えられている。
研究によると人間の健康、生産性、農業生産高に影響を与える猛暑のコストは世界中で均等に負担されておらず、最貧国が最も苦しんでいるという。
研究者らは、気候変動の原因を最も作っている世界の富裕国の1人当たり国内総生産(GDP)の平均1.5%が猛暑によって失われているとしている。
一方、世界の最貧国は1人当たりGDPの6.7%とはるかに大きな損失を被っており、そうした国のほとんどは気候変動の原因にあまり関与しておらず、その影響に対する回復力が弱いとしている。
研究は、各国が気候変動への適応のコストをより微妙な差異をつけた方法で検討する必要性を強調しており、対策そのものだけでなく対策をとらないことのコストも考慮する必要があるとダートマス大学で地理学の博士号取得候補者である筆頭著者のクリストファー・キャラハンは述べている。
何もしないことには「相当な代償」がともなうとキャラハンは指摘した。
世界各国の経済・環境データの質にはかなりばらつきがあり、世界で最も貧しく暑い地域をカバーするデータの質は往々にして最悪だ。このため、気候変動に関連する経済コストについて、特に既存のデータでほぼカバーされていない地域について正確な推定値を出すことは困難で、推定には大きな誤差があると研究者は指摘している(16兆ドルはこれらの分析の平均値だ)。